仕事は好きなので、忙しいのは特に苦にしないのだが、問題は頭の中が常に仕事の事を考え続けてしまう点だ。
誰でもそうなのかもしれないが、私の頭は、基本的に一つの事を深く考え始めると、その他の事をあまり考えなくなる傾向がある。
そのうち、心の中で、音楽や絵画、はたまたファッションや風景といった自分の元々好きなものに接したい気持ちが湧いてくる。
そんなときに私が良くすることは、ぶらりと街歩きをすることである。
今日は風もなく、気持ちの良い青空が広がり、ゆったりと時間を忘れて、久しぶりに我が街を歩いてみた。
駅前は建設ラッシュで、新しいビルが次々と立ち上がっている。
建設現場には、コンクリートミキサー車がひっきりなしに入っていく。
交通整理のガードマンも責任重大だ。
ちょうど現場囲いの小さなドアから、作業を終えたばかりの作業員たちが大勢出てきた。
皆、仕事を終えた充実感で、顔が活き活きとしている。
くたびれた様子の者は誰一人いない。
そして彼らは、雑踏に紛れ足早に消えていった。
巨大な高層ビルも確かに人の手で作られている。
そして、今、目の前を歩いて行った人たちがまぎれもなく作っているのだと思うと、何だか、彼らがうらやましく思えてきた。
目の前に確実に現れる仕事の結果としての建築物、毎日少しづつだが完成に近づいて行く。
そんな仕事に携わる経験は、貴重であろう。
果して、仕事を終えての充実感、私は感じているのだろうか?と自問しながら、駅に向かう。
続いて、地元のショッピングモールに立ち寄る。
すると、ビジネススーツの新しい店がオープンしていた。
センスの良いシャツやネクタイ、カバンなど小物も豊富に並んでいる。
店内は、結構混んでいて、活気がある。
大手紳士服販売のチェーンが運営している新しいコンセプトの店舗とのことである。
確かに、デザインも豊富、ディスプレイも楽しいし、買いやすい雰囲気で、思わずシャツ、ネクタイ、ベルトなど6点も衝動買いしてしまった。
そう、活気だ、唐突にそんな言葉が頭をよぎった。
活気がある場所は、気分が良い。
人間は、時々、街の活気を自分の中に取り入れ、心のバランスを取っているのかもしれない。
おかげで帰り道、すっかり、仕事の事は頭から離れて、リフレッシュすることができた。
