つま先にそっと力を入れていく。
一瞬ちからを抜いて、またゆっくり力を加える。
一瞬、ちからを抜くのは「嘘」。
まだ本当は力を抜くところじゃない。
けれど、僕は嘘の情報をインプットする。
誤情報は瞬く間に伝送され、
遅滞なく「変化」がフィードバックされる。
思った通りの変化に、少しだけ口角を上げる。
そう、いい子だ。
上り詰めて、それ以上「いき」ようがないのに
また、ふっとちからを抜き、
焦らすように再び力を込めていく。
ほら、
まだ「その上」があるじゃないか。
呼吸のサイクルにあわせるように
つま先がわずかなONとOFFを繰り返す。
この限りなくライトなタッチが
そのポテンシャルを引き出していく。