妻が死んで今日で6年が経った。命日だ。

あの日も今日のような暑い日だった。


今年は7回忌に当たる。
死はついこの間のことのようにも思えるし、遠い昔のことのようにも思える。
それより、最近は俺は結婚なんかしていなかったのではと思うこともある。
結婚していたのは俺の思い込みであり、ずうっと、独り者だったようにも感じる。

 

しかし、やはりここは現実の世界である。
それをどこか、否定したい気持ちがあるので、そんなことを感じるのかもしれない。

この6年間、俺は何をしていたか?

どうやら、現実から逃避をするため、ひたすら逃げ回っていたようにも思う。
妻のことを思い出しそうな時が時々あるが、頭を振って思い出さないようにしている。
写真も見ないようにしている。見たくない。
現実逃避の口実は「城」だ。


無理やり自分の中で理由を付けて山を放浪し、それをネタにHPとか本の原稿、記事を書いているのだ。
そうやって、無理して忘れようとしているようだ。
でも、それでいいのかもしれない。

これからもこの手を使って逃げ回るのだろう。
そうしていないと心の平衡が保てない。


卑怯な男だ。女々しいねえ。世間の俺と同じ境遇にいる男性はどうなのだろう。
これじゃ、女性にモテるはずがない。

今、それがようやく分かった。


でも、そんなこと、今頃、気が付いてももう遅い、手遅れだ。
・・・なんて言ってるから「あんたに一番心配なのは、ロマンス詐欺にころっと引っかかって金騙し取られるかもしれないことだ。」と娘に言われる始末。

さすが、よく俺のことを分かっている。
子供と配偶者、孫で集まって7回忌をやろうかと・・。