危ないです。相当危ないです。

 

巷の資産運用セミナーや、経済情報誌、テレビ番組でも、「長期投資+つみたて投資」がよいと推奨しているのをよく見かけます。

 

と言うか、「投資=長期投資」「投資=つみたて投資」となっていますね。

「長期投資」や「つみたて投資」以外は“投資ではない”という勢いです。

 

それもFPだけでなく、経済専門家や評論家、マーケットウォッチャーも含めてマーケット関係者みんなが口を揃えて「長期投資」と「つみたて投資」を推奨しています。

 

これってどこか気持ち悪いというより、おかしくはないでしょうか...

 

そこで冷静に客観的に、「長期投資」「つみたて投資」というものを、「説明する側、推奨する側」と「説明を受ける側」に分けてそれぞれの事情を考えてみたいと思います。

 

前者は、主に金融機関、マーケット関係者、金融に携わる人、NISA等制度設計者

後者は、もっぱら個人投資家(プロではない)、特に投資初心者及び未経験者

 

こういう図式が考えられます。

 

 

テーマ「なぜ『長期投資』や『つみたて投資』を勧めるのか...」

 

マーケット関係者及び金融当局関係者にとっては、「長期投資」や「つみたて投資」だと、株を買って解約されることがないので、株価の下支えとなってくれることが期待されます。

 

つまり、日本の個人投資家が日本株を買ってくれれば、早期解約はしないので日本株上昇が見込めるというものです。

 

「新NISA」も、日本の個人投資家が日本株市場を買い支えてくれることを期待した制度だという人もいますが、ところが現実は、円安ということもあり“オルカン”と呼ばれる投信を通じて日本の個人投資家が「米S&P」を買い支えることになりました。

 

つまり日本の個人投資家が「新NISA」を通じて“円安”を助長することになってしまったのですね。

 

当局の思惑通りにはいかないものです。

 

それでも日本の個人投資家が、株価を下支えしてくれるシステムは出来上がったと言えま。

 

実は確定拠出年金制度導入時も同じような思惑があったのですが、企業型では従業員の殆どが「定期預金」を選択し、個人型は全然普及しなかったことで、こちらも思惑が外れてしまいました。

 

もう一つは、「長期投資」も「つみたて投資」も、投資期間が超長期になるので、投資結果の検証をすることがなく、投資提案の「答え合わせ」が、随分先送りになります。

 

説明する側、投資を勧める側の“失敗したとき”の責任は、問われようがないのです。

 

投資を進める側のリスクはほとんどないということで、無難に話をするなら「長期投資」と「つみたて投資」を言っていればよいのです。

 

これだと、投資素人FPでも投資経験のない人でも、いくらでもアドバイスすることができますよね。

 

 

次に、説明される側、実際に投資をする側、特に投資初心者や未経験者にとっては、「リスク」が投資をするうえでの大きな障壁になっています。

 

それゆえ「リスク」が少ないと説明される(むしろ「リスク」が“ない?”というイメージを勝手に持っている感じがあります)「長期投資」や「つみたて投資」は、願ってもない投資手法になります。

 

さらに長期投資なので投資タイミングを図らなくてもよいと説明されると、マーケットのことを全然知らなくても、難しい勉強をしなくても、面倒な売り買いをしなくても良い「長期投資」と「つみたて投資」は、まさに重宝されるのですね。

 

それゆえ「長期投資」や「つみたて投資」を否定する人は許されないのでしょう。

この2つの投資以外は「投棄」と断じて、もう聞く耳を持たなくなるのでしょう...

 

これらは、はっきりといって誤解であり、間違ったイメージなのですが、このお互い都合よく解釈された空気感が、妙にシンクロして、疑う余地もなく「投資=長期投資、つみたて投資」となり、それ以外を否定する環境が作り出されたのですね。

 

はっきり言います。60歳・65歳になって思い通りの投資結果を得られなかったとしても、もう手遅れですからね。

 

知りませんからね。

 

誰も責任は取れません。

だって投資は「自己責任」ですから...

 

自己責任にも関わらず“答え合わせ”ができない手法を選んで満足しているなんて、本当におかしいですよ。

 

冷静に考えましょう。大切なお金を老後のため、生活のために運用するのですから。結果が全てですよ...