物価の上昇は家賃にも影響を与えています。

不動産は「景気の遅行性指標」と言われます。


時間差はあるものの、物価上昇の先には家賃が上がるというのが通説です。

不動産業界は生活の基盤であるため、景気停滞による影響は他の業界よりも後から受けます。

また、賃料は不動産の価格と異なり、遅延性(粘着性)という特徴があり、不動産価格が20%上昇したからといって賃料もすぐに20%上昇するわけではありません。

物価上昇の波がついに国内の家賃にも波及し始めたのです。

2023年の消費者物価指数(CPI)で賃貸住宅の家賃を示す指数は前年比0.1%上昇し、
25年ぶりのプラスとなりました。

また、2年前の家賃相場と比較すると、新築物件の家賃は約5%上昇しており、
特にファミリー向け物件では、2015年1月以降で最高値を更新し続けています。

家賃の値上げが認められるのは、物価の上昇により土地・建物の固定資産税などの
税金の負担が増えたり、周辺の物件と比べ家賃が適正でなくなったりした場合です。

ただし、家賃などの契約条件を変更する際は、貸主・借主両者の合意が必須条件です。

賃料増額交渉が決裂した場合、賃貸人は、賃料の値上げを求める調停を提起することができます。

都市部などで賃上げや資材高騰で住宅の維持費用が増加していることも、家賃を動かした背景にはあります。

新規賃貸契約だけでなく、契約更新時に家主が値上げを要請し、借り主も受け入れるケースが増えています。

管理会社も既存の入居者に対して、契約更新時に賃料の5〜7%ほどの値上げを申し入れ始めています。

単身者向けの住戸を数多く手がけるレオパレス21によると「全国平均で賃料が1000円程度上がっている」というのです。

不動産経済研究所によると、2023年の首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の新築マンションの平均価格は前年比28.8%上昇の8101万円で、過去最高値を更新しました。

資材価格や土地の上昇もあり、過去5年で35%上昇しています。

新規募集の賃料が上がり、(既存居住者の)更新賃料に乖離(かいり)が生じているため、既存の居住者に対しても更新時に増額を打診する例が増えているそうです。

不動産調査会社の東京カンテイによると、東京23区の分譲マンションを新規に賃貸する際の募集家賃は2月に前年同月比6.2%上昇しました。

国内の賃貸住宅に特化した不動産投資信託(REIT)のアドバンス・レジデンス投資法人の公表資料によると、2023年8月〜2024年1月に更新対象の物件の約5割に賃料の引き上げを打診し、そのうち約66%の借り手が容認したとのことです。

結果として更新物件の賃料総額は更新前と比べ1.2%上昇しました。

物価を長らく押し下げてきた家賃が賃金や物価情勢に応じて上がり始めれば、CPI全体を押し上げ、政府・日銀が掲げる2%物価安定目標の下支えとなるという指摘はありますが、庶民の生活は苦しくなるばかりです。

生活コスト(水道光熱費など)が上がっています。

本当に庶民の生活は苦しいです。

日銀は3月にマイナス金利政策を解除しました。

今後の追加利上げ次第では、変動型の住宅ローン金利の上昇を通じて、住宅保有コストが増加し、賃貸住宅の家賃にもさらに上昇圧力がかかる可能性もあります。

あ~~いやだいやだ...