NISAは、税制優遇をすることで、多くの人を投資の世界へ誘導するものだということは理解しています。「貯蓄から投資へ」の大号令の延長線上にある政策だというのも十分に理解できます。

 

だから政府の言いなりにはならないと拒絶するのは勝手ですが、運用益非課税は、投資において実に効率的で、複利効果を大きく得られるメリットがあります。

 

それだけでも十分に、NISAを上手に活用する理由になるような気がします。

 

iDecoもそうですが、NISAを選ぶ大きな理由は「運用益が非課税」にあります。

 

しかし、せっかくの税制優遇が、つまり運用益非課税なのに、長期投資という収益を確定しない方法を選択するのかが、制度のメリットを活かしていると言えるのでしょうか。

 

非課税というのは、株式の「配当金」、投資信託の「分配金」、それと「譲渡益」に対するものです。

 

税率は、所得税・住民税・復興所得税あわせて「20.315%」が「0%」になります。

 

なお、NISA口座で買付けた上場株式の配当金等を非課税にするためには、証券会社で配当金等を受け取る株式数比例配分方式「株式数比例配分方式」に変更する必要があります。いま一度、お取引先の証券会社にご確認ください。

 

NISA口座で買付けた株式投資信託の分配金については、上記の手続は不要です。

 

分配金に関して、新NISAでは「毎月分配」の投資信託は対象外になりました。

 

しかし、「隔月分配型」の投資信託は引き続き投資対象となります。「隔月分配型」は、2カ月に1回、分配金を支払うことを目標とした投資信託のことです。

年金生活者にとっては、偶数月に年金が受給されることもあって、受け取れない奇数月は収入が少なくなるために「奇数月分配型」投資信託が人気になっています。

 

新NISAを利用すれば配当金や分配金に税金はかかりませんが、米国株や米国ETFに投資をする場合は別途10%の税金がかかります。米国株・米国ETFは米国の税率10%が適用され、この部分の税金は新NISAで非課税にならないためです。

ただし、NISAではなく一般の取引であれば20.315%を課税される代わりに外国税額控除が適用され、確定申告をすれば所得税額から差し引くことができます。

 

運用益が非課税というなら、その効果を最大限に活かすには「譲渡益非課税」を利用するのが最も効果的ですね。

 

NISAには「つみたて投資枠(年間非課税上限額180万円)」と「成長投資枠(同240万円)」があり、生涯投資上限額も「つみたて+成長」枠1800万円のうち1200万円まで成長枠で使うことができます。

 

成長枠の非課税枠上限が1200万円ですから、ある年で240万円の株を購入したら、非課税枠は960万円に減ります。毎年240万円の株を買い続けたら5年で非課税枠は一杯になる計算になりますが、一部でも解約すれば、解約した分の枠が空きます。

 

500万円を解約して現金に変えたら、非課税枠は500万円できたことになります。

 

一方で、成長投資枠を使用せずに、つみたてNISA枠のみで1800万円まで投資することもできます。

 

成長枠では、日本株式や外国株式、ETF(上場投信)やREIT(上場不動産投信)などにも投資可能です。つみたて投資枠の投資対象商品よりも幅広く商品選定をすることができます。

 

つみたて枠では、販売手数料ゼロ(ノーロード)や信託報酬が一定水準以下、信託契約期間が無期限または20年以上であることなど、金融庁が規定している要件を満たした商品に限定されています。

 

成長枠では「個別株」を買うことができるのです。

 

個別株投資の世界には「テンバガー」と呼ばれる、大きく化ける銘柄が存在します。

240万円投資して10倍の2400万円になる銘柄も存在します。この場合、単純計算ですが2160万円が「非課税」になるのです。

 

20.315%にあたる約439万円は支払わなくて済むのです。

 

テンバガーとまではいかないまでも倍になる銘柄、50%利益が出る銘柄は、いくらでもあります。

 

これを毎年買って、年内に売りぬけば、非課税枠1200万円という上限枠は変わりません。

 

毎月積み立ては「つみたて枠」で、税制優遇を最大限に活かして実利を取るのは「成長枠」で個別株投資を行うのが、一番理にかなってるのではないでしょうか。

 

誰もこれを言わない、金融機関もFPもコメンテーターも評論家も、みな長期投資の積立投資しか言わないのは、なにか理由があるのでしょうかね...