「実質賃金」とは、労働者が実際に受け取った給与である“名目賃金”から、消費者物価指数に基づく物価変動の影響を差し引いて算出される指数のことです。

 

物価高以上に、賃金が上昇しているかどうかを見極めます。

 

“名目賃金”が上がっても、「実質賃金」が上がらないと生活は苦しいままです。

 

厚生労働省が7日発表した2024年1月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によれば、1人あたりの賃金は物価を考慮した実質で前年同月比0.6%減ったとのことです。

 

マイナスは22カ月連続。物価高に賃金上昇が追いつかない状況が続いているということです。

 

実質賃金のマイナス幅は12月の2.1%減から縮小はしました。

 

名目賃金が上層傾向にあることと、実質賃金を算出する指標となる物価(持ち家の家賃換算分を除く)の上昇が2.5%と12月より0.5ポイント下がり、賃金の目減りが和らいだことによりますが、それでも賃金が物価高に追いついていないのは事実です。

 

名目賃金を示す1人あたりの現金給与総額は前年同月比で2%増の28万2270円で、2022年1月から25カ月連続のプラスとなってはいます。

 

現金給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は1.4%増で、9カ月連続で1%台の伸びになってはいます。

 

賃上げが一定程度反映されていると見られるものの、賃金が上がったと、喜んでばかりいられません。

 

春闘で“満額回答”とかのニュースが飛び交っていますが、政治家も賃金上昇を得意げに語っていますが、物価高に見合う賃金ではない状況は変わらず、依然生活は苦しいという状況です。

 

その名目賃金も、就業形態別で見ると、正社員ら一般労働者は2.3%増の36万9239円で、パートタイム労働者は2.2%増の10万1358円でした。

 

でも一方で、物価の変動分を反映した実質賃金は、前の年の同じ月に比べて0.6%減少したのです。

 

基本給や残業代などを合わせた現金給与の総額は、1人当たり平均で28万2270円と前の年の同じ月に比べて2%増加し、25か月連続のプラスとなり過去最長を更新しました。

 

業種別では電気・ガス業が9.6%増と高い伸びを示したほか、情報通信業が4.8%増のほか、金融業・保険業が4.7%増だったとのことです。

 

総労働時間は前年同月比0.6%減の127.1時間でした。

 

就業形態別では一般労働者が0.3%減の151.9時間、パートタイム労働者が1.4%減の75.5時間でした。

 

日本の雇用形態は、ジョブ型を嫌う一定層の方がいてメンバーシップ型を重宝がっています。

 

つまり、「時間単価×労働時間」で給与額は決まるので、労働時間が減ると、貰う給与額は減ることになります。

 

このことに多くの人は、なんの疑問も不満も抱かないというのが、日本では長年賃金が上がらなかった背景にあると思っています。


厚生労働省のコメントが

消費者物価指数の伸びがやや鈍化したこともあり実質賃金の減少が少し落ち着いてきている。交渉が本格化している春闘の結果などが賃金動向に与える影響や物価の状況を注視していきたい...

としています。

 

なんだかなぁ~