イングランド銀行(英中央銀行)は11日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、4.50%としました。インフレ圧力が持続すれば追加利上げが必要との考えも示しました。

 

0.25ポイント利上げの決定は「7対2」で、金融政策委員会(MPC)メンバー2人は据え置きを主張しましたが、大多数は景気の底堅さを示す「度重なるサプライズ」が物価圧力を高め中銀の行動を必要にしたと論じたとあります。

 

ベイリー総裁は決定発表後の記者会見で「安定した低インフレは健全な経済の土台だ」とし、「インフレ率が目標の2%に戻ることを確実にするために政策姿勢を堅持することが必要だ」と語りました。

 

短期金融市場は中銀の発表後に、発表前は4.9%だった政策金利が、9月までに4.95%になるとの見通しを織り込みました。

 

中銀は国内総生産(GDP)予測を大幅に引き上げ、2026年半ばの経済規模は2月時点の予想よりも2.25%大きくなると予想しました。

 

なおも2桁台のインフレ率に直面する英中銀は、12会合連続の利上げを迫られた格好になります。

 

11日公表された議事要旨では「物価圧力がさらに持続する証拠があれば、金融政策の一段の引き締めが必要になるだろう」と、3月会合時の文言を踏襲しました。

 

これは当時「利上げ停止に道を開く表現」と受け止められのですが、その後のインフレ、経済成長、労働市場に関する指標は全て上振れしました。

 

中銀は経済成長だけでなく、インフレの予想も引き上げました。

失業率予想は2月時点の予測から引き下げました。

 

1~3月(第1四半期)と4~6月(第2四半期)はストや祝日の影響でゼロ成長が続く見通しですが、季節・労働日数調整値ではそれぞれ0.2%前後の成長が見込まれています。

 

インフレ率は今年末までに5.1%に低下すると予想しましたが、従来予測では3.9%としていました。ただ、金利が現在の市場の想定に沿って上昇した場合、2年後と3年後のインフレ率は1%強に低下するとみています。

中銀はインフレについて、高い食料品価格が楽観に水を差すとし、ウクライナでの戦争による貿易への影響を指摘し、貿易環境の改善が価格下落につながる時期は不確実だとしました。

 

ベイリー総裁は「総合インフレ率が低下しても、こうした二次的影響が当初思われたほど早期に消える可能性は低い。二次的影響の解消には出現時より長い時間がかかると考えている」と語りました。

 

テンレイロ、ディングラ両委員が3会合連続で大勢に反し据え置きを主張したようです。両氏は年内のインフレ急低下を見込むとともに、「これまでの利上げによる大きな影響がこれから表れる」との見解を示しました。

 

金融政策は景気抑制的な度合いを強めており、利下げが必要となる時点を早める可能性もあると論じました。

 

欧米とも、利上げ継続の危険性は気にしながらも、足元のインフレが収まる兆しがはっきりとしない状況を苦々しく思っているようで、どこかで利上げ停止タイミング模索していることが伺えます。

 

2021年12月の0.1%から今回の引き上げで4.5%に達した金利上昇について、中銀のスタッフはこの影響のほぼ3分の1しか消費者に浸透していないと見積もっているとありますね。

 

ベイリー総裁と2人の副総裁を含む過半数の委員は、インフレと経済成長がいずれも予想を上回ったことを受けて、「国内の物価と賃金設定の持続的な強さに対処し続けることが重要だ」と指摘したとのことです。