物価目標2%を慎重に実施する...

 

植田和男日銀新総裁の、総裁としての使命と受け取りました。

 

28日の日銀総裁記者会見で、2%の物価目標達成の確度を慎重に見極める考えを強調しました。

 

足元の物価高は、あくまで原材料高が起点となって「コスト・プッシュ型」であって、需要がけん引する「ディマンド・プル型」になるのは賃金上昇が不可欠であり、その持続的・安定的な賃金上昇につながる可能性は見られてきたと表現していました。

安定的な2%の可能性も出てきているなか、うまくいったとき、うまくいかなかったとき(の両方)をにらんで用意しておこうと思った...

多くの専門家は、総裁のこのセリフに注目したようですね。

 

今回の会合で長期緩和のレビュー実施を決めた理由を問われた植田総裁は、基調的なインフレ率が目標に近づきつつあるためと説明しました。

 

今回の会合で長期緩和のレビュー実施を決めた理由を問われた植田総裁は、基調的なインフレ率が目標に近づきつつあるためと説明しました。

 

数値上は政府・日銀が掲げる2%の物価目標に近づいているものの、植田総裁は「(物価目標を達成すると)安心して言えるところまで到達していない」として大規模緩和を維持する姿勢を強調しながらも、状況に応じて緩和の強化・縮小に両にらみで備えるために、レビューを実施する必要があるとしたと、日経新聞も報じています。

 

 

記事にもありますが、「引き締めが遅れて2%を超えるインフレ率が持続するリスクよりも、拙速な引き締めで2%を実現できなくなるリスクの方が大きい」という思いが、黒田前総裁の金融緩和政策は継続につながるとし、円安が加速して、ドル・円レートは136円台までドル高円安が進みました。

効果と副作用のバランスは間違えないようにしたい...

緩和策を続ける重要性を訴えながらも、緩和政策の副作用も気を付けたいとの発言の長です。

 

今回、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の修正を見送りました。

 

緩和政策の副作用が和らいでいることがあり、さらに変動幅を拡大しなかったのも、金利上昇圧力が弱まっているうえに、金融不安がくすぶっていることも考慮し、修正は得策ではないと判断したとのことのようです。

 

日経新聞記事には「バランスを重視する植田総裁の姿勢は、強いことばを並べて人々の期待に訴えかけた黒田東彦前総裁とは対照的だ」とありますね。

 

なるほど...

 

「政策の効果と副作用をバランスよく紹介する点にも、学者出身の植田カラーがにじむ」ともあります。

 

日銀は今回の会合で1998年以降の緩和策の効果と副作用を点検するレビューの実施を決めています。

 

日銀内のスタッフによる分析を中心に外部有識者らへのヒアリングも実施する。1〜1年半かけて、残り(3年半〜4年)の任期の金融政策に役立てたいとのことです。

 

レビュー期間中の政策変更の可能性も否定しなかったともあります。

 

いずれにしても、マーケットは、金融緩和政策継続、YCC見直しは慎重に、ゼロ金利政策は維持することで、大きく円が売られたということですね...