トランプ米大統領は7日、不法移民の脅威を理由にメキシコ製品に課すと表明していた制裁関税の発動を無期限で見送ることを明らかにしました。米国への不法移民の流入に歯止めをかける新たな対策にメキシコ側が同意したと報じています。

 

米政府は10日からメキシコからの全ての輸入製品に5%の制裁関税を課し、その後関税率を段階的に引き上げ10月に最大25%とする方針を示し、メキシコ側に圧力をかけていました。

 

トランプ大統領は「米国がメキシコと合意に達したと伝えられることをうれしく思う。これにより米国が10日に発動を予定していた対メキシコ関税は無期限に停止される。メキシコは同国を経由し、米国の南部国境に向かう大量の移民の流れを食い止める強力な措置を講じることに同意した」とTwitterでツイートしました。

 

両国の共同声明によれば、メキシコは同国全土、特に南部国境を優先し、治安部隊の配置を拡充・強化、さらに国境を越えて米国に入ろうとする難民申請希望者は直ちにメキシコに送還され、そこで決定を待つことになるとしています。

 

そもそも大きくマーケットが下落した要因は、移民対策として米国がメキシコに対して関税強化をうちだしたことで、そのトランプ発言からリスク・オフの流れは形成され、米10年債利回りは大きく低下し(債券が買われた)、円が買われました。

 

従って今回の対メキシコ関税強化無期限延期は、マーケットにとっては大きなポジティブ材料となると思われます。

 

月曜日の東京市場は、円安・株高が見込まれると予想します。

 

米雇用統計が弱かったことで、FRBによる利下げ観測も強まり、利下げはマーケットにとっては追う材料になりますので、下とでは株価も大きく上げていますし、その流れで、マーケットは下げ止まりを見せて大きく反発すると思われます。

 

米国による対中関税強化は、貿易戦争というよりもIT覇権争いであることが明白となっていますので、マーケットとしても米国としての行動としては、納得はいかないまでも理解はしていて、長期化も予想して覚悟はしていたのでしょうが、対メキシコの移民政策のための関税強化は、納得も理解もできないだけに、マーケットは出口が見えないリスク・オフとなったのだと思われます。

 

トランプ大統領は、対中貿易戦争を仕掛けてマーケットを揺さぶり、なんだかんだ言って実際のボタンを押すことは延期し、FRBに利下げを促していたにもかかわらず、それでも動かないのでメキシコを震源地としたツイートを仕掛けて、マーケットの方から利下げ要求の機運を高めているという、なんかそんなしたたかな思惑を感じるのは考えすぎでしょうかね。

 

結局は中国関係にしてもメキシコに対してもそうですが、実弾投下前には延期をし、花火は打ち上げても実行はしないという、巧妙にマスコミを操ることで、世間の風潮を操ることで、自分の思惑通りにことを進めているような気がしてならないのですがね。

 

やはりトランプ大統領は侮れない、世間の評価とは違う実務家としての力量を感じるのですがね...