ベッドのごくわずかな振動で、僕は目を覚ました。うっすら開けたまぶたの隙間から、ゆらりと動く人影が見える。バスローブをまとったジミニヒョンだ。
起きたのかな…
昨夜は結局、ソファで愛し合った後、素早くシャワーを浴びて寝てしまったのだ。僕はジミニヒョンと一緒にシャワーを浴びたりお風呂に入ったりしてみたかったのだけど、顔を真っ赤に染めたジミニヒョンに、頑なに「ダメ!」と言われて諦めた。それで、さっとシャワーを浴びて、大きなベッドで身を寄せ合って眠った。眠る時はジミニヒョンを抱きしめていたから、いつの間にか離れてしまっていたようだ。薄目を開けたまま、ぼんやりとジミニヒョンを眺める。
あれ…
ジミニヒョンはやけにゆっくりとベッドから降りようとしていた。
あ、そうか…
僕がまだ寝ていると思って、起こさないようにしてくれてるんだ…
ジミニヒョンが可愛くて、もう少し密かに観察したくなった僕は狸寝入りを決め込むことにした。まぶたを閉じる。
って、あれ…?
ジミニヒョン、僕を見てる…?
ベッドがわずかに沈んで、ジミニヒョンの気配が顔の近くに来たのがわかった。
もしかして…キス…
…なわけないか…
一瞬期待してドキドキしたけれど、ジミニヒョンの気配はややあって離れた。ジミニヒョンがベッドから降りた気配がしたから、薄目を開ける。彼はそうっと、つま先立ちで音を立てないようにバスルームに向かった。
トイレか…
戻ってくるの待とう…
僕は再び目を閉じた。
トイレは済んだはずなのに、ジミニヒョンはなかなか戻ってこなかった。
何してるんだろう…
お風呂入ってるなら、僕も…
気になった僕は身を起こしてベッドから降りた。バスルームへ行くと、少しだけ隙間が開いている。そこからジミニヒョンの横顔が小さく見えた。
あ…
ジミニヒョンが手に持っているのは、ホテルアメニティとして用意されているカミソリだ。
こんな朝早くから、お手入れ…
真剣な瞳に、何故かドキドキした。ジミニヒョンはカミソリを慎重に音を立てぬようにしている素振りで洗面台に置き、今度は鏡に自分の顔を写して入念にチェックし始めた。
あんな…音を立てないように…
もしかして…
僕に知られたくなかった?とか…?
僕が起きる前に…きれいにしておきたかった?
その考えにたどり着いた瞬間、いじらしく思う気持ちと愛おしさが僕の頭に押し寄せてきて爆発した。僕はドキドキしながら、静かにベッドに戻って横たわり目を閉じた。やがて、ジミニヒョンがベッドに戻ってきた気配がした。ベッドが沈んで、横向きに寝ている僕の前に温かい塊が寝そべる気配がする。僕は薄目を開けて、一瞬、ジミニヒョンを窺った。
うう…何食わぬ顔で寝てる…
可愛い…
今すぐ抱きしめて、キスしたくなった。その時、また僕の顔の前に何かの気配がした。