久しぶりにジニヒョンと部屋でふたりきりになって、俺は不思議とすごく落ち着いた気持ちになった。同時に、酒のせいかもしれないがどこか高揚感もあった。ソファに隣り合って座ると、ジニヒョンが袋からアイスを出してローテーブルに置く。
「スイカバーたまに食べたくなるんだよな」
ジニヒョンはスイカバーの包装を破って取り出す。スイカバーはスイカの形を模した細長い三角形のアイスだ。彼はその先端をかじって満足そうに笑った。
「うま。一口食う?」
頷くと、目の前に差し出されたバーにかじりついた。爽やかな甘さが口の中に広がった。「美味いです」と言おうとして、俺を見るジニヒョンの顔が赤くなっているのに気付いた。
どうせエロいこと考えてんだろうなあ…
スイカバーを見ながら考える。俺はジニヒョンに向かって微笑むと、そのまま視線を外さずに、差し出されたままのスイカバーをもう一度咥えた。
「っ…」
じっ、と見つめながらしゃりしゃり音を立ててスイカバーを咀嚼すると、ジニヒョンはため息をついた。
「はぁ…お前なあ…もっと普通に食えよ」
「普通に食ってますよ。変なこと考えてんのはジンニョンでしょ」
「違うって」
ジニヒョンは俺のアイスを俺の目の前に押しやった。付属のスプーンですくってアイスを口に入れる。
「うま」
「クッキーいいよな。ちょっと塩味あって」
「そうですね…食べますか?」
アイスのカップごと渡すと、ジニヒョンは受け取って一口食べた。
「うま…」
「美味いですよね…あ」
なぜか唇を尖らせたジニヒョンが、アイスをスプーンですくって俺の口元に差し出した。
「あーん」
「なんで…」
恥ずかしくて思いっきり拒否の目線を送るけれど、ジニヒョンのじっと見つめる瞳を見ると拒否しきれなくて口に入れる。
「お前さ…」
尚も自ら俺にアイスを与えようとするのに困惑しながらも、差し出されるままに口に入れ続けていると、ジニヒョンは呆れたように口を開いた。
「なんでそんなエロく食べれんの」
「なっ!普通に食べてるだけですって」
「いや…エロいんだって…ぅわ」
ジニヒョンの手元が狂って、アイスクリームが俺の口から外れた。
「ごめん…」
唇がアイスで濡れ、こぼれたアイスが顎へ伝うのがわかる。ジニヒョンはまじまじと俺を見て、アイスのカップを置いた。
「やっぱ、すげーエロい…」
近づいてきたジニヒョンの唇を受け止める。ジニヒョンの舌が、俺の唇からこぼれたアイスクリームをなぞっていくのを感じながら俺は思った。
アイス…俺が食う前に溶けちゃうんだろうなあ…