「つ、付き合ってるんですか?」
ジミニヒョンが驚いたようにジニヒョンに聞いた。
「うん」
ジニヒョンが満足そうに笑ってSUGAさんを抱き寄せる。SUGAさんは眉をしかめて
「暑い」
と言い、ジニヒョンを引き剥がした。ジニヒョンは慣れているのか気に留めず、次は僕を見てニヤリと笑った。
「安心しただろ?」
「はい!」
大きく頷くと、ジニヒョンは「素直な奴」と楽しそうに笑った。
「ああ…だから、チェックインのとき、ジョングクがSUGAさん好きって言ったらジニヒョン嬉しそうだったんですね」
ジミニヒョンが言うと、ジニヒョンが一瞬目を丸くした。
「そう…だっけ…」
「そうですよ」
僕はジニヒョンの耳が赤くなっているのに気づいた。
親父ギャグばかり言う人かと思ってたけど…
意外と、可愛い人だな…
SUGAさんがジニヒョンの赤くなった耳を見て、静かに「ふ」と微笑んだ。
「ユンギや、この子がスイーツコンテストで受賞したんだよ、3位」
SUGAさんの名前はユンギと言うらしい。ユンギさんはジミニヒョンを見て、「ほう」と声を上げた。
「若いのにすごいじゃん。何作ったの?」
「お餅ケーキです。お餅をケーキ状にして、ハートでデコレーションして…」
「へぇ…珍しい」
「餅屋なんだよ、な!」
ジニヒョンは意味ありげに言うと、ぐっと声を落として、ユンギさんの耳元で
「俺らも今日餅つこうな?」
と言った。ユンギさんが「子供の前で何言ってるんですか…もう酔ってます?」と呆れたように言うと、ジニヒョンは面白そうにくっくっ、と笑った。その時、隣に座ったジミニヒョンが僕のシャツの袖を引っ張って顔を近づけてきた。内緒話をする距離だ。
「ね…もしかして…『餅をつく』って…何か、別の意味あるの?」
うわあ、どうしよう…
レストランのきらめく照明を受けてキラキラと光るジミニヒョンのきれいな瞳を前にして、僕は内心頭を抱えた。しかし次の瞬間、覚悟を決める。僕はジミニヒョンの耳元を手で覆って、低い声でささやいた。
「僕らが…さっきまで…部屋でシてたこと…です」
言った途端、ジミニヒョンは目を見開いて僕を見た。その頬が見る見るうちに真っ赤に染まっていく。
あ、可愛い…
見惚れかけた瞬間、口を尖らせたジミニヒョンが「もう、バカ!」と小さな声で叫ぶと、僕の肩を強めに叩いた。
な、なんで僕が怒られたんだろ…