*BL妄想

(ジョングク×ジミン)です

   苦手な方は閲覧ご注意ください

*画像お借りしています

*BTS WORLD のアナザーストーリーのアナザーストーリーです☆

*第一話はこちら 



















Side JK








短いインターバルのために競技場を出る。チス先輩が心配そうに僕を見た。



「大丈夫か?」



「僕は大丈夫です。やはり、ムホの差し金でジミニヒョンが連れ去られたみたいです」



体育館を見回してみるが相変わらずジミニヒョンの姿はない。



「どうしよう



「奴はなんて言ってるんだ?」



「僕が勝ったりこのことを明らかにしたらジミニヒョンを無事では返さないと



「くそっ、なんて奴だ



チス先輩は吐き捨てるように言うと、別の先輩のところへ歩いて行く。僕は試合中のムホの言葉をもう一度思い出そうとしていた。




『無事ってのはいろんな意味があるよな』


『でも負けたら何するかわかんないよね。俺が。あの人すげぇ可愛いからさ』




不意に、ムホがジミニヒョンの頰に触れていた昨日の光景が目に浮かんで、僕は腹わたが煮え繰り返りそうになった。




そうか、あいつ







僕が勝ったら、ジミニヒョンを穢(けが)すと





怒りで体が小刻みに震え出した。ジュンスン先輩と話していたチス先輩が、黙ってしまった僕を心配してか、顔を覗き込む。



「大丈夫か?こっちでもなんとか手を考える。できる限り粘って3ラウンド目に持ち込め」



「はい



僕はどす暗い気持ちを抱えたまま、のろのろと競技場へ戻った。同じく戻ってきたムホを睨みつける。2ラウンド目が始まった。



練習の賜物なのか、ムホがサボっていたのかわからないが、ムホの構えには隙があり、キックはキレを欠いているように思えた。




全力で戦えば勝てる




ムホのキックを軽やかに避けると、彼の顔は苦痛に歪んだ。しかし、すぐに「ふん」と笑って、パンチを繰り出してくる。




だけど僕が全力で戦ったら




本当にジミニヒョンに告白するつもりなのかわからないし、知りたくもないが、「試合に勝って告白」という道を絶たれたムホが何をするかが怖かった。




ジミニヒョンが他の誰かに穢されてしまうなんて




考えただけでも頭がおかしくなりそうだった。




わざと負けるしかないんだろうか




「ぐ」



「ジョングク!」



恐ろしい考えにとらわれていたせいか、ムホのパンチを胴体に受ける。僕はムホを睨みつけたまま踏みとどまった。反対にパンチを繰り出すと、ムホの胴体にヒットする。



「その調子だ!ジョングク!」



スンミン先輩の嬉しそうな声が飛んでくる。スンミン先輩とは、練習で一番組み合った。ムホの試合の動画を何度も見て、一緒に研究した。




いや、わざと負けるなんて




あんなに毎日練習したのは何のためだったんだ?




キックを立て続けに仕掛けると、ムホが体勢を崩した。そこに回し蹴りしようとしたとき、ムホがにやりと笑うのが見えた。




「っ」



その笑みにぞわりと狂気めいたものを感じて、僕は思わず脚の力を弱めた。ムホは回し蹴りを受けて尚踏ん張り、またにやにや笑った。




ダメだこいつは僕に負けたら、ジミニヒョンを本当に




どうしたらいいんだ




レフェリーの2ラウンド目終了を告げる声が響いても、僕は混乱して立ち尽くしたままだった。