Side JK
あまり眠れなかった…
ジミニヒョンのことを失うかもしれないと考えると全く寝付けず、僕は悶々と夜を過ごし、結局少しの睡眠で、試合会場であるうちの高校の体育館にやってきた。ウォームアップのため、僕は試合会場の脇で、他の部員たちとともに練習することにした。
「あ…あれ、ジミンさんじゃね?」
隣で組み手をしていたスンミン先輩が呟いて、僕は即座に体育館の入口に目をやった。
ジミニヒョン…
来てくれたんだ…
僕、あんなひどいこと言ったのに…
ジミニヒョンのところに駆けて行こうとしたとき、彼が大きな平たい木箱を持っているのに気づいた。近くにいた部員たちが駆け寄ると、ジミニヒョンは嬉しそうに話を始めた。
そっか…
部員みんなに差し入れ…
ジミニヒョンをじっと見ていたけれど、なかなか視線が合わなくて僕は気落ちした。
やっぱり嫌われたのかな…
ジミニヒョンのところに駆けて行くか迷っているうちに、練習にチス先輩が合流して、組み手練習をすることになった。
嫌われたんだとしても…
ジミニヒョンが見てる…
僕は、繰り出す拳に力を込めた。
僕…絶対、勝たなきゃ…
Side JM
体育館に入ったとき、ジョングクの姿をすぐに見つけた。だけど昨日のことが頭をよぎると気まずくて、声をかけようか迷って立ちつくしていると、顔見知りの部員たちに声をかけられた。お餅の木箱を差入れとして見せると、彼らが喜んでくれたので僕はほっとした。体育館の奥、ジョングクが練習しているところに改めて目をやる。
ジョングク…
ジョングクはチスと一心不乱に組み合っていた。その気合は他の練習の時には見たことないくらいで、僕はぞくりとした。
どうしよう…かっこいい…
僕、ほんとに、ジョングクのことが…
ぼんやりと魅入られたように見つめていると、部員の子たちが、「部室の方にいらっしゃいますか?」と聞いてくれたので素直に着いていく。部室にお餅を置いてきたかったのと、体育館より人目の少なさそうな部室にいた方が、ジョングクと2人で話しやすいかな、という思いもあった。