ジョングク、汗だくだった…
すごく、練習してたんだろうな…
『ムホに勝ったら…キスの先のこと全部していいですか?』と頬を染めるジョングクを思い出すと胸がつきんと痛くなる。
すごく、可愛かったな…
今日だって…よく考えたら、可愛い妬きもちだったのに…
僕は、僕がムホにされたみたいに、誰かがジョングクの頬に触れたら、と想像してみた。それで、ジョングクが頰を染めたり、どきりとした様子を見せたりなんかしたらと、と。
嫌だな…
恋人が、他の人とあんな風にしてたら…嫌だよね…
僕、そういうの無頓着だったな…
作業する手は重かったけれど、のろのろしながらも僕は最後のお餅まで形を整えた。
「あ…」
形を整えて並べたお餅を見て僕はびっくりした。ジョングクのことを考えながら作業していたら、無意識に彼の好きなお餅ばかり作っていたからだ。
うう、会いたい…
やっぱり行かないなんて…
物陰からでもいいから、試合…見よう…
僕はそう決めると、明日に備えて早く寝てしまうことにした。
Side JK
練習の後も帰宅してからも、夕食を取りお風呂に入った後も、「ごめんなさい」とジミニヒョンにメッセージを送った。けれど何度送っても既読にならず、僕は絶望に打ちひしがれて、スマホを握り締めたまま自室の勉強机に顔を突っ伏した。こんなつらい気持ちになるものなんだ。ジミニヒョンに嫌われたかもしれない、と思うことが…
せめて、明日は勝たなきゃ…
自分の子供っぽい妬きもちと、「見にこなくていいです」というひどい言葉を思い出すと、ジミニヒョンが来てくれるとは思えなかった。せめてムホに勝ち、『僕勝ちましたよ!謝りたいから会ってくれませんか?』とメッセージを送りたかった。
ジミニヒョンに会うために、
明日は絶対、ムホに勝つ…
僕はそう心に決めると、机に突っ伏していた顔を上げた。

