(ジョングク×ジミン)です
Side JK
レジには僕が並ぶことにして、ジミニヒョンには席を取りに行ってもらった。店の奥の2人席がちょうど空いたからジミニヒョンはそこに座り、僕の方を見て手を振った。そのしぐさが可愛くて笑顔を返すと、また恥ずかしそうに笑ってくれるのがたまらない。
わかってたことだけど、ジミニヒョン可愛いなあ…
人目がある時はいいけど…
ふたりきりになることがあったりしたら、僕…
いろいろと我慢できる自信がなかった。だったらふたりきりにならなきゃいいのだけど、せっかくのデートだからやはりジミニヒョンとふたりきりになりたかった。
でも、我慢しなきゃ…
10日後に大事な試合を控えている。因縁の相手、ムホとの試合だ。僕は中学時代、テコンドーはかなり強かったのだけど、ムホとの試合の前に脚を痛め、試合に敗れた。そしてそれをきっかけに一時期テコンドーが出来なくなってしまった。今回、ムホのいるヤンウン高校との試合をすることになったから、一度ムホと話したところ、僕の脚の怪我が、ムホの仕組んだ誤診だったことが分かったのだ。
卑怯な奴…
僕は正々堂々、試合でムホに勝つ…!
ジミニヒョンのことは大好きだけど、大好きだからこそ、キスのその先に進んだら、僕の頭の中がジミニヒョンで埋め尽くされることは想像に難くなかった。そうなったとき、テコンドーの練習に支障をきたすことを僕は恐れていた。だから、今日はもし万一、そんな雰囲気になってもキスの先には進まないよう決めて家を出てきたのだ。
だけど、あんなことされるなんて…
レジの列に並びながら映画館でのキスを反芻する。一度めは予告編を見ている時の不意打ち。二度めはシアター出た後の暗い廊下で。どちらもジミニヒョンからのキスで、びっくりしたけれどすごく嬉しくて、さらに好きになった。
これ以上好きになったら、どうしよう…
「いらっしゃいませ、何になさいますか?」
僕のオーダーの番になり、カウンターのスタッフに明るく声をかけられて僕の思考は中断された。オーダーを終え、何気なく席にいるジミニヒョンの方を見た僕は、次の瞬間、驚きで心臓が止まりそうになった。
ムホ…!
あいつ、ジミニヒョンに何してるんだ…
他でもないムホが、ジミニヒョンの前の席に座り、ジミニヒョンの手を握っていた。むかっときた僕は、オーダーした飲み物を受け取ると、ジミニヒョンとムホのところへ早足で向かって行った。