「電話だ。ユンギから」
車でオリエントホテルに向かう道中、マネージャーがそう言って、前部座席から振り向いてこちらを見たときの俺の気持ちと言ったら、嬉しくて飛び上がりそうだった。
「代わってください」
俺が言うより早く彼は俺にスマホを渡してくれた。
「テヒョンだよ。今どこ?」
焦っていてタメ口になったけれど気にしていられない。
「テヒョナ…」
ホッとしたようなユンギヒョンの声に泣きそうになった。
「ユンギヒョン…無事なんですね?」
「無事だ。ジニヒョンも無事なんだな?」
「はい。2人とも無事です。ユンギヒョンが言った通り…希望…ありました。ホソギヒョンが助けてくれました」
俺が言うと、電話の向こうでユンギヒョンの「ふ」と小さく笑う気配がした。俺の隣に座ったホソギヒョンは「ん?」と目を見開いたから、素早く笑みを返す。
「ユンギヒョンは今どこにいますか?」
「オリエントホテルに着く直前に車を下された。スマホも何も持ってないが…」
ユンギヒョンはそこで言葉を切った。
「通りかかった方がたまたま俺らのことを知っている方で電話をさせてくれた…今、ホテルの入り口に着く」
「よかったぁ…」
安堵で力が抜けていく。
「バーに行く、とジョングクは言っていたんだよな?」
「そうです。オリエントホテルのバーに…何か、ジミンに関係するような口ぶりで」
「わかった。ソジュンもオリエントホテルに向かっていた。このままオリエントホテルのバーに行ってジミンとジョングクを探す」
一気にまた胸が騒いだ。恐らくはそこに、ソジュニヒョンも来るだろうから…
「俺たちも…今ジニヒョンとホソギヒョンもいて、一緒にそちらに向かってます。くれぐれも無理しないで…気をつけて」
「わかった…」
ユンギヒョンはそう言った後、少し黙ってからこう言った。
「ところで、ウリ(우리)リーダーは今どこにいるんだ?」