*BL妄想(ジョングク×ジミン 他)です
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Side JK
「僕たち、もう元に戻ろう」
別れを告げた途端、みるみるうちに目に涙をためていくジミニヒョンを見て、「傷つけずに別れたい」なんてなまっちょろいことを考えていた自分を殴ってやりたくなった。
傷つかずに別れるなんて、そんな仲じゃないんだ。
そんなことができるほど、浅い付き合いだったはずはない。
はらはらと涙を流し、なぜ、と問うジミニヒョンに、何をどう話したのか覚えていない。ただ、理由は、「他に好きな子ができた」にした。ジミニヒョンに失望したなんてこと、嘘だとしても言いたくはなかったから。
ジミニヒョンが僕の部屋を出て行って、僕は一人きりになった。途端にこらえていた涙が溢れる。目が腫れるからやめなきゃいけないのに、拭っても拭っても、後から後から流れ出して止まらない。
こんなに、つらいことなんだ。
あなたを喪うくらいなら、
あなたを失うつらさに耐えようと思ったのに…
その手紙が僕に届いたのは海外ツアー中、ホテルに滞在している時だった。部屋のドアの脇に備え付けてある、新聞やランドリーを置いておくボックスに入れられていた。
ジョングクへ
ジミンと別れろ
別れなければジミンを殺す
このことを誰にも言うな
誰かに言えばジミンを殺す
この手紙の主を探そうとするな
探そうとすればジミンを殺す
手紙は手書きの韓国語で書かれていた。そして、ジミニヒョンが最近失くした、と言っていたネックレスが、チェーンを切られた状態で同封されていた。僕は茫然として、しばらく何もできなかった。いろんな選択肢を頭に浮かべては消した。その日は何も結論は出なかった。僕はただ誰にも何も言わずに、ステージに出て、ジミニヒョンと普通に話して、夜はジミニヒョンの部屋に行った。
そうしたら次の日、ジミニヒョンの乗った送迎車が信号待ちで止まっている時に、街の荒くれ者達に囲まれるという事件が発生した。マネージャーがすぐ現地の警察に通報して、事無きを得たが、それを聞いた僕の体は、リハーサルの後だったというのにどんどん温度が失われていった。
偶然…にしてはタイミングがおかしい。
そして、前後の他のメンバーの車には目もくれなかった、という事実が僕を怯えさせた。
僕は、僕や僕らへの悪意は怖くない。
だけどそのせいで、ジミニヒョンを喪うことになるのはすごく、すごく怖かった。
そしてその夜、2通目の手紙が届いた。
ジョングクへ
今すぐジミンと別れろ
別れなければジミンを殺す
このことを誰にも言うな
誰かに言えばジミンを殺す
この手紙の主を探そうとするな
探そうとすればジミンを殺す
間違い探しみたいな2通目の手紙の文面を見ながら、僕は手紙のことが本当に起こった後の世界のことを考えた。地獄だろうな、と僕は思った。他の何が起こっても、それだけは嫌だった。自分の行動でそれが回避できるなら、そうするしかない、というのが僕の出した結論だった。どんなことがあっても、ジミニヒョンを守りたかった。
僕はその日の夜、決意を秘めてジミニヒョンを抱いた。丁寧にキスをして、ジミニヒョンの気にいることを全部した。しがみついてくるジミニヒョンの腕の強さ、甘い体温、可憐な声、全部自分に刻み込むみたいに集中して、抱いた。「グガ、好き…」と囁かれた時は涙がこぼれそうになったけれど、激しいリズムの中に全部隠した。溶け合ったときは、このまま二度と、2つに別れなければいい、とさえ思った。
数日後、僕はジミニヒョンを呼び出して、別れを告げた。