ソジュニヒョンがユンギを連れて部屋を出るとすぐに、テヒョンは手首をねじったり、脚を動かしたりしてロープから抜けようとしていた。俺も一緒にいろんな動きを試してみたが、がっちり食い込んでいて緩む気配はない。
「んんんー」
ダメだ、と呟いても虚しくただのうめきになるだけだ。その時、テヒョンが俺の顔を見て目を見開いた。
「んん!!んんん!!」
「んんんんー」
…わかんないって。
必死に声を上げ続けるテヒョンに眉をひそめて、首を振って見せる。テヒョンも首を振った。
「んん!んんん!んん!」
テヒョンはうめきながらドアの方をしきりに見た。
…そうか、この声が廊下に届けば…
俺はテヒョンを見て頷くと、
「んんー!んんー!」
と出来る限りの声量でうめきはじめた。テヒョンも同じように「んー!」とうめく。そのうちテヒョンは腰を浮かせて、少しずつドアの方へ近づくそぶりを見せた。お互い足首で縛られているからほとんど自由に動けなかったが、しないよりマシだ。俺も必死で体をよじって移動を試みた。
どれくらい時間が経ったんだろう。
ユンギは無事なんだろうか…
銃を持ったソジュニヒョンは見たことがないくらい冷徹に見えた。考え出すと、ぎゅっと胸の奥が掴まれる気がして心細くて仕方ない。
2人で交代しながらひっきりなしに大きなうめき声を上げているが、廊下も部屋の周りもしんとして何も聞こえない。さすがに喉が痛くなってきた時、ドアの方から、コンコン、と音が聞こえた気がして、声を出すのをやめる。
「ん?」
目でテヒョンに訴えると、テヒョンも気づいたようだった。
…コンコン。
明確な意思を持ってノックされるドア。次の瞬間、俺はあらん限りの声量を振り絞った。
「んんんんんんーーーー!」
息を使いすぎて必死で息を吸いながら、ドアの方を窺う。
「……何だ?ジニヒョン?」
やや間があって、ドアの向こうからは戸惑ったような、しかし聞き慣れた声が聞こえてきた。
もしかして、
もしかしなくても
この声は…
希望、キターーーーー!!!!!!