*BL妄想(ジョングク×ジミン、テテ×ユンギ 他)です
*第1話はこちら
Side T
「ああ、そう…ジョングクがなんか、オリエントホテルに行きたいらしくて…ジミンが先に着いているみたい」
ジニヒョンがジョングクのためにマネージャーに電話してあげているのを聞きながら、俺はユンギヒョンから教えてもらった3人の名前を思い出していた。キム・ジアン、パク・ソジュン、ミン・ドユン。このうちのマネージャー、パク・ソジュンが「ジョングクがジミンと接触しようとしている」ことを知ったことになる。ソジュニヒョンは一番、そうであって欲しくない人で、俺もそうだが、ユンギヒョンも彼を積極的に調べたくない雰囲気をあからさまに出していた。
「今誰も動けないらしくて、車を出せないらしい。代わりにタクシーの手配をホテルに頼んでくれたらしいから、このまま地下のフロント行って名前とルームナンバーを告げてくれって」
電話を切ったジニヒョンがそう言うと、思いつめたような顔をしたジョングクが一瞬ホッとしたような表情をした。
タクシー…
大丈夫なんだろうか…
「俺も一緒に行こうか?」
心配になって聞くと、ジョングクは首を振った。
「ううん、一人で行くよ…その…すごく個人的なことだから」
心配そうな皆を見てジョングクは笑顔を作ったようだった。
「大丈夫、ここで食事してて」
ジョングクはそう言い残すとジニヒョンの部屋を出て行った。
なんか、心配だな…
ジョングクの思いつめたような顔が心に残った。
…よし、ユンギヒョンに伝えよう。
俺はそう決めると、ジニヒョンとホソギヒョンに断って廊下へ出た。
「ジミンに会いに、別のホテルへ…」
ユンギヒョンの部屋で俺の報告を聞いた彼は、俺の言葉を繰り返して黙り込んだ。
「それで…気になるのはジニヒョンがソジュニヒョンに車の手配を頼んだんです。そしたらタクシー乗れって」
「ソジュニヒョンか…」
ユンギヒョンの顔が険しくなる。
「違うと思いたいけどな…」
「でも、変じゃないですか?いつもなら調整して車出してくれそうなのに、あっさりタクシー乗れとか…」
「確かにな」
ユンギヒョンはしばらく考えていたが、「よし」と言って座っていたベッドから立ち上がった。
「ソジュニヒョンの部屋行って、雑談しながら様子を見てくる」
すたすたと部屋のドアへ向かって歩き始めたユンギヒョンを俺は慌てて追いかけた。
「俺も行きます」
「お前はいいよ」
「よくないですって」
ソジュニヒョンがそうだと決まったわけではなかったが、何が起こるかわからない。ユンギヒョンが心配だった。一人でドアを開けようとするユンギヒョンの腕を掴んで引き寄せて、背中から抱きしめてうなじに顔を埋めた。
「俺も行きます。変なこと喋らないから…ひとりで行かないで」
「…隣にいて、ただ黙ってるのも変だろ」
抱きしめる俺の手に自分の手を重ねて振り向いたユンギヒョンの頰は少し赤く染まっていて、こんな時なのに、ドキドキした。
「…テヒョン、こういうのは、後で…」
「ん」
照れているユンギヒョンが可愛くて思わず「ちゅ」と軽くキスをすると、ユンギヒョンは困ったように眉を寄せて、小さく「バカ」と呟いた。
「…ちゃんとついてこいよ」
言ってドアノブに手をかけ廊下に出るユンギヒョンの耳が真っ赤で、俺はにやけてしまって慌てて顔を引き締めた。