Side JN
ステージの後は、ジミンとジョングクと3人で飲むことが多かった。だけど、ジミンとジョングクが別れた後はさすがになかなかそういう話にならず、今日は久しぶりの会食だった。ジョングクと、そして珍しくテヒョンと、俺の部屋で食事を一緒に取った。途中、ドアがノックされた時、ジョングクの体が緊張したのがわかって胸が痛くなった。俺はなんとなく、ジョングクの思う人ーージミンではなく、別の人物を予想していたからだ。
「ジニヒョン、飲んでますか?」
俺の予想は的中した。ホソクがドアの前に立っていた。彼は部屋の中に視線を走らせて、ジョングクを発見して安心したような顔をした。
「ホソギヒョン飲んでるんですか?珍しい」
ホソクの手の中のアルコールの缶を見てジョングクは驚いたように言った。
「いや…開けたものの飲みきれなさそうと思って…持ってきた」
明るく笑うホソクに俺はホッとした。ジョングクは俺の部屋に来てからもずっと元気が無く、しかしジミンとのことを突っ込んで聞くのもはばかられ、3人の会話はあまり進まなかったからだ。しかし、こういう時は誰かがそばにいることが一番大切だから、ジョングクが好きなだけ飲みに付き合おうと思っていた。
「あ、それルームサービス取ったんだ」
「そう…気になりましたよね」
「うまかったよ、食べて」
ルームサービスのチキンをホソクの前へ置いてやる。その時、ジョングクのスマホから音が鳴った。画面を見たジョングクの顔色がさっと変わる。ジョングクは黙ったまま、スマホをぎゅっと握りしめた。
「僕…」
ジョングクはいきなり立ち上がった。
「どうした?」
「行かなきゃ、オリエントホテル」
「へ?何、どうした?ホテル?」
ホソクがチキンを口に入れたまま目を見開いた。テヒョンもびっくりしたように黙ってジョングクを見つめている。
「ジミニヒョンが…」
ジョングクは立ったままもう一度スマホの画面を見て、顔をしかめた。泣き出しそうな顔だ、とぼんやり思った。
「ジミニがどうした?」
「ごめんなさい、わけは言えないんですが…オリエントホテルの…バーに行ってきます」
そのままドアへ歩いていくジョングクを慌てて止める。
「ま、待て、どうやって行く気なんだ?車、お願いしないと」
「あ、そうか…」
ジョングクは呟いて、ばたりと足を止めた。
「マネージャー、電話してみるよ」
俺がスマホを取ると、ジョングクは「ありがとうございます」と小さく言った。
