Side Y
「や、えっと…」
テヒョンは大きな目に期待を乗せてこっちをじっと見つめている。昨日のように食べさせてもらうのはためらわれた。熱がないせいで、より一層気恥ずかしく感じたからだ。
「自分で食えるって」
「そう…」
つい強めの口調で言ってしまって、テヒョンはしゅん、として俯いた。
ああ…めんどくさい…
だけど…
「ん、やっぱ、食わせて」
俺が言うと、テヒョンは途端に、にぱっ、と花が咲いたように笑った。
やばい、可愛い…
素直な奴…
テヒョンが差し出した粥を昨日と同じように一口ずつ食べた。
「美味い」
「へへ…」
照れたように笑うテヒョンは昨日とは打って変わって行儀よく座って、俺に粥を食べさせ続けている。
昨日の、キスが…嘘みたいだな…
もしかして、無かったことに、なってんのかな…
「今日は、行儀良いんだな」
聞くと、テヒョンは居心地悪そうにもじもじと身をよじった。
「昨日、俺…ごめんなさい…風邪のユンギヒョンにあんなこと…」
殊勝なテヒョンに、俺が思わず微笑むと、テヒョンは困ったように眉を寄せた。
「だから、ユンギヒョンが治るまで待ちます。今日は…何もしませんから」
そう言うとテヒョンはドヤ顔になって微笑んだ。
「お前な、昨日あんなに…」
あんなにたくさん俺にキスしたくせに。
あんなに何回も好きって言ったくせに。
俺を…こんな気持ちにさせたくせに…
俺はテヒョンの差し出したスプーンから粥を口に入れると、スプーンを奪い取って、サイドテーブルの上に置いた。
…そっか。
こんな気持ち…
俺を…こんな気持ちにさせたくせに…
俺はテヒョンの差し出したスプーンから粥を口に入れると、スプーンを奪い取って、サイドテーブルの上に置いた。
…そっか。
こんな気持ち…