Side JK
…あれ…
ジミニヒョンがいない…
ナムジュニヒョンに紹介された雑誌記者達と話しながら僕はジミニヒョンが会場からいなくなっているのに気づいた。トイレかな、と思って少し待ってみたが、ジミニヒョンは現れない。何よりも僕を焦らせたのは、クォンさんもいなくなっていることだった。僕はナムジュニヒョンに断って、ジミニヒョンがいないか確認するためにトイレに行ってみた。会場近くのトイレにはおらず、念のため同じフロアの別のトイレも見たけれど、いなかった。
どういうこと…
「ジョングガ、どうした?」
会場に戻り、焦った顔で会場内を見回す僕に気づいてナムジュニヒョンが声をかけてくれた。
「ジミニヒョンがいないです…」
情けないことに、僕は泣き出しそうな顔になっていたかもしれない。ナムジュニヒョンはそんな僕を見て驚いた表情になった。
「トイレとかだろ?」
「いえ、トイレにもいません…もうだいぶ前から姿が見えなくて…一緒にいた記者さんもいないんです…」
僕が必死にナムジュニヒョンに話していたら、後ろからユンギヒョンが会話に加わってくれた。
「あの人、ジミニのこと気に入ってたよな」
ユンギヒョンも気づいてたんだ…
もともと、ジミニヒョンとの関係は皆には言っていなかったが、ユンギヒョンは薄々気づいている節があった。
「だけど行くところなんて…」
ナムジュニヒョンと僕たちは押し黙った。そこへジニヒョンとホソギヒョン、ヴィヒョンもやってきた。
「どうしたんだ、みんな集まって」
「ジミナがいない」
ナムジュニヒョンが短く言うと、皆会場を見回した。
「さっき、クォンさんと話してたよ…そこのバーカウンターの前で」
ジニヒョンは言った。
「何かお酒をクォンさんのシャツにこぼしたみたいで、わたわたしてたよ」
「そ、そのあとどうしてました?」
僕がジニヒョンに前のめりになって聞くとジニヒョンは僕の勢いにびっくりしたような表情になった。
「え、そこから会場出て行ったよ…シャツ着替えるのかなって思ってたけど」
ジニヒョンがさした場所は、先ほど僕らが部屋から来た時に使ったエレベーターに近い出口だ。僕は自分の頭から血の気が引いていく感じがした。
「もしかして…ジミニヒョン、自分の部屋に、あの男と…」
「ダメなのか?」
ヴィヒョンがいつもの調子でのんびりと聞く。僕は慌てて口を開いた。
「あの人、ジミニヒョンのこと狙ってるんだよ」
「マジで?」
「すごいいい人そうだったけど」
ヴィヒョンとホソギヒョンは口々に言ったが、僕は首を振った。
「いや、絶対にジミニヒョンのこと狙ってます…僕はわかってたのに…」
僕はナムジュニヒョンの方を向いた。
「ごめんなさい、僕ジミニヒョンの部屋見てきます」
「ジョングガ!」
僕は言うなり出口に向かって走った。