身をほぐしてご飯にのせ、お茶を掛けるだけですが絶品料理。やっぱり「茶漬け」は鮭が一番です。わさびの香りがなんとも言えない。「おにぎり」はウメに後塵を拝しますが、鮭とウメは双璧でしょう。皆様の番付は如何でしょう?
今回は懐かしく、年末にふさわしい新巻鮭(荒巻)を取り上げてみたいと思います。子供の頃の記憶ですが、年末になると決まってわらに包んだそれこそ荒巻鮭が届きました。日頃口にできない高級魚で,食卓に出るのを待ち焦がれていたのを思い出します。塩辛い鮭でしたが、身の部分は子どもたちが食べて、腹の塩が析出しているような部分を大人たちがお茶漬けにして、うまいうまい、と食っていたのを思い出します。(*1)
そこで、かつての茶漬けの味の復活を目指し新巻鮭を買いました。実は30年前ぐらいでしょうか、まだ辛口として売っていたのを買って茶漬けにしたのが、大変美味しかった。まだ冷凍技術が発達していなくて塩漬けが流通していたのでしょうね。大人としての感慨を味わったのです。
荒巻は10日間ほど塩漬けにして、その後水で塩抜きをし、それから数日天日で干すのだそうです。やはり身が厚いので最高気温10度を超えない気候が必要とのこと。その間に熟成し旨味が増すのですね。何はともあれ、「お茶漬け」と鮭の頭部を入れた「粕汁」です。
新巻鮭は、今日に至るまで全く口にしなかったという事ではなく、たまにおすそ分けというかたちで食しています。しかし、もう一つ思い出とは整合しない。よーく考えたら自ら買ったことがなかったのです。早速ネットで調べ始めたら、どうも簡易製法というのがあるらしい。しかも大半がその製法のようです。従って「本物」と言われるサイトから(半分売り切れているのも本物の査証?)購入したのが今回のものです。
技術の進歩や世の中の流れに順応してしまい、知らず知らずのうちに忘れ去ったものがありそうです。いつの間にか鮭の刺し身が普通に食べられるようになり、辛い鮭がスーパーから消えたのです。(*2)「そう言えば・・」なんて状態でしか記憶の俎上に上がって来ないほど、今は情報も溢れています。
結局、食べ物でも技術進歩の影響があるように、身の回りにおいては、更に大きな技術の進歩により、天と地ほどの変化が起きています。
でも、日本は国土の広さや教育やインフラの画一性からか、都会も田舎も生活が均質化しています。今になって、政府は「ダイバーシティ」(多様性)を叫び始めています。しかし、地域特性がもっと大幅にあれば生活の根源的な違いに気がつく機会も増えましょうが、逆に平等の名の下、全国一律の法律の網をかぶせて多様性を奪ってきたのです。
特に日本人は自然災害の多さからか順化、順応が得意な民族と言われています。また人間の本性から変化を避ける傾向があります。谷がなければ山の高さが分からないように、時々生活にも谷に降りたり、山に登ったり変化をつけるようにして、もっと生活をエンジョイしたいものです。
今年も最後です。本当に大変お世話になり、ありがとう御座いました。それこそ、生活を変化させる大きな要素として、私たちの携わるリフォームがお役に立てたら幸いです。
ボランティアとして版画教室を開いている3番目の兄貴が、版板を安くするために、シナベニヤをカットして使っているそうです。そのベニヤ板の芯に使ってある木がすこぶる品質が悪くなっている、なんて嘆いていました。ベニヤを常時使っている本業の私たちが、気がつかないところでコストダウンが計られている事を知りました。
でも、私たちは芸術品を作っているわけではなく、大多数の使用者が許容できる範囲までこだわりを無くし、コストダウンすることもリフォームには必要な事だと思います。
別注を得意とする私たちは、工芸的追求ではなく、「暮らし」を洗練したいとお思いの方に、「特別仕様の住まい」を作りあげる事にこそ、こだわりを持ち、実現して行きたいと考えています。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
これも身内の話で恐縮ですが、兄貴が毎年くれる手製版画のカレンダーです。
どうも、体力の限界が来ているようで、最終回になりそうです。
*1:日本で取れるのは白鮭、紅鮭はアラスカ・ロシア産、銀ザケはチリ・ロシア産、ノルウェーの養殖はアトランティックサーモン、ニジマス(トラウトサーモン)はチリの養殖、以上が主だった流通鮭だそうです。
*2:鮭の歴史は塩の歴史と言うぐらいで、大量に塩を使う新巻は、塩が多く作れるようになってから流通したようです。「酒と鮭は銚子まで」ということわざがあり、酒は銚子以北はまずく、鮭は銚子以南は食べられない、と昔から言うぐらいですから、西へ外れるほど希少価値があったことでしょう。アイヌの「ルイベ」と同じように冷凍し輸入されている鮭は寄生虫が死滅し生食が可能となっています。









