誰もが家庭内で辛い思いをすることがあるだろう。

私は、子どもの頃、2番目の兄から日常的に頭部を硬い家具で殴られる等の暴力を受けていた。

このことを、成人を超えてから弁護士に相談した。目的は損害賠償請求などの金銭的な補償を求めることではない。金銭など1円もいらない。ただ、過去の暴力を認め、誠実に謝罪してほしい。それだけだ。あの頃の私が受けた苦しみをなかったことにしたくなかった。

弁護士は、私の話を丁寧に聞いたうえで、時効や少年法ことなど、法的に難しい面があることを説明してくれたのと同時に、民法712条・714条のことなど、さまざまな方法を提案してくれた。また、医療記録をもとにした被害の証明方法など、現実的に考えられる選択肢を示してくれた。


主治医の先生も、「今でもできることがあるのではないか」と言ってくださった。医師としての立場からだけでなく、人として私の思いを受け止めてくれたことが、心の支えになった。


親族から「もう昔のことなんだからいつまでも言うな」と軽んじるような態度で、私自身が責められることに強い違和感を覚える。暴力を受けたあの日々をなかったことにしないために、私は声を上げた。これは、今の私のためだけでなく、あの頃、何もできずに耐えていた過去の自分のためでもある。

首藤はるか