周瑜が刀に手を伸ばそうとした瞬間、チェ・ヨンが二人の間に入りウンスを背に庇った。
「この方の!……医術が真実か否か!…周瑜殿は間者に聞いたのではないのか?!曹操…奴はイムジャが腹を切り、今どうしている?生きているだろう?この軍で、疫病に感染した者がいるか?曹操軍には、日々疫病が広がっていると孔明殿に聞いた。何故ここには居ないのか…それはイムジャが毎日…昼夜を問わず、必死に疫病と戦っているからではないのか?…もし小喬殿と赤子…どちらかに何かあれば、俺の首をくれてやる…それがここの軍規だと聞いた。その代わり…イムジャだけは助けてくれぬか?次にあの山が光った折に、あの場所へ…俺たちが初めに降り立った天門へ…この方を連れて行って欲しい。周瑜殿、考えてみてくれ…イムジャにはただ何もせず、このまま自然に任せ、見守ると言う術もあるのだ…でもこの方は何があろうと最後まで諦めず…命の前では精一杯に戦われるお方…これでもまだ信じられぬか?」
「チェ・ヨン!嫌よ!自分の責任は自分で取るわ!あなたが居ない世界なんて私…それに高麗にあなたを連れ戻さなくちゃ駄目なの…周瑜さん、もしその時は…私を…彼は何も悪くない…」
ウンスは潤んだ眸で、真っ直ぐに周瑜の視線を受け止める。一欠片の嘘も後悔もその涙の中には入っていなかった…
「あなた…私に話をさせて下さい…ウンス様、お腹を開いて取り出せば、赤子の命は助かるのですね?」
「…開いてみないと何とも言えないの…でも今のまま普通に出産することはとても困難なのよ。赤ちゃんだけでなく、小喬さんの命にも関わるわ。今…赤ちゃんは動いているかしら?」
「はい、ゆっくりではありますが…そうですか…絶対ではないのですね?」
「二人を…助けたい…まだ間に合うわ。私を信じてくれないかしら?」
ウンスは小喬の手を握る。
「はい…お願いします。ウンス様…そしてもしどうしても…どちらか一人しか助けられない時は…迷わず赤子を助けて下さい」
「小喬!何をいうのだ!そんなことはさせぬ!私はそなたがおらんと…赤子ももちろん大切だが…小喬に変わるものなどいない!」
「…あなたは、それと同じ事をこのお二人の口から言わせたのよ…自分の事などより大切な、好いた相手の命を守りたいと…チェ・ヨン様のおっしゃる通りです…何もせず何も言わず…知らぬ振りを通すこともできるのにウンス様は…もしかしたらこのために、地上へ降り立って下さったのかもしれません…」
「大都督…私も同意見です。あなたもわかっているはずです。このお二人の心根が如何なものかは…嘘偽りの無い、澄んだお二人の眼を見れば自ずと応えは出ています。ご心配はわかります。私でさえ俄かには信じられないのですから…」
「ああ孔明殿…わかっているのだ。恐らくそれしか方法がないのだろうと言うことも…だが怖いのだ。この私が…小喬を失うのが怖い…ウンス殿、失礼なことを申してすまなかった。小喬と赤子を頼みます」
「はい、全力をつくします。では早速準備にかかります。寝台の位置をこの辺まで高くして下さい……」
正常な状態であれば、破水をしても子供の頭で羊水の流出は少量で済む事の方が多い。小喬の場合は逆子である。かなり布団が濡れてきている。急がねばならない。羊水がなくなってしまうと赤ちゃんが危険だ。
必要なものを孔明に全て揃えてもらい、華佗を呼んでもらった。もうここに来て6日目…疫病にはかかっていない。彼に手伝ってもらおうとウンスは考えたのだ。
清潔な着物に着替え、手術の準備も整った。
「ウンス殿…私も小喬の側に居ても良いだろうか?」
「はい…そのかわり…約束して下さい。何があっても騒がないと…良いですか?」
「分かりました」
「私も微力ながらお手伝いをさせて頂きたい」
「孔明さん…血はお得意?」
「ふっ。ええ大丈夫です。お任せあれ」
「ふぅ~まず麻酔を打ちます。麻酔とは痛みを感じさせなくする薬なの。胸から下だけが動かなくなるわ。意識はちゃんとあるので赤ちゃんにはすぐに会えるから。刺すときだけ痛いので我慢してね」
「はい、お願いします」
ウンスは小喬の脊椎に一番太い針で麻酔を入れる。小喬の顔が一瞬歪むが、周瑜がその手を握ると二人は微笑み合っていた。この数分で父親と母親の顔になったとウンスは感じた…絶対に成功させなくちゃ…
「小喬さん、これは感じる?そう…じゃあこれは?うん。麻酔が効いてきたようね。華佗さん、孔明さん、良く見ていて下さいね。では、始めます」
こうして人類史上初めての帝王切開が静かに始まった…
ウンスは、美容外科的には、傷跡が目立たないようお腹を横に切りたかった。でも、あまり力の入らなくなってきた腕が急げとウンスを急かす…仕方なくお臍から下へ縦に切開することにしたのだ。その方が視野が取りやすいからだ。
メスでスッと下腹にメスを入れるとビリビリっと微かな皮膚の破ける音がする…皆が息を呑むのが分かる…何十回繰り返してもこの瞬間の怖さは変わらない…一度メスを入れてしまえば、あとは自分の責任だ。
「まずは、皮膚を切除します…次に脂肪層、筋膜、筋肉、腹膜の順に切っていきます。チェ・ヨン…開創器で広げるから持っていて。華佗さん、火鉢から鍼をお願いします」
ウンスは深呼吸すると、熱した針を電メス替わりに子宮に横に這わせると、ジュッっと言う音を響かせ、白い煙と共に独特の人の焼ける匂いが立ち込める。
その上からメスを入れて、出血を抑えるようにしたのだ。卵膜を破ると羊水が溢れてきた…子宮の中にそっと手を入れ赤ちゃんを取り出しにかかる…ここまで5分くらいかな…予定通りね。
あっへその緒が首に巻きついている…良かった…
必要なものを孔明に全て揃えてもらい、華佗を呼んでもらった。もうここに来て6日目…疫病にはかかっていない。彼に手伝ってもらおうとウンスは考えたのだ。
清潔な着物に着替え、手術の準備も整った。
「ウンス殿…私も小喬の側に居ても良いだろうか?」
「はい…そのかわり…約束して下さい。何があっても騒がないと…良いですか?」
「分かりました」
「私も微力ながらお手伝いをさせて頂きたい」
「孔明さん…血はお得意?」
「ふっ。ええ大丈夫です。お任せあれ」
「ふぅ~まず麻酔を打ちます。麻酔とは痛みを感じさせなくする薬なの。胸から下だけが動かなくなるわ。意識はちゃんとあるので赤ちゃんにはすぐに会えるから。刺すときだけ痛いので我慢してね」
「はい、お願いします」
ウンスは小喬の脊椎に一番太い針で麻酔を入れる。小喬の顔が一瞬歪むが、周瑜がその手を握ると二人は微笑み合っていた。この数分で父親と母親の顔になったとウンスは感じた…絶対に成功させなくちゃ…
「小喬さん、これは感じる?そう…じゃあこれは?うん。麻酔が効いてきたようね。華佗さん、孔明さん、良く見ていて下さいね。では、始めます」
こうして人類史上初めての帝王切開が静かに始まった…
ウンスは、美容外科的には、傷跡が目立たないようお腹を横に切りたかった。でも、あまり力の入らなくなってきた腕が急げとウンスを急かす…仕方なくお臍から下へ縦に切開することにしたのだ。その方が視野が取りやすいからだ。
メスでスッと下腹にメスを入れるとビリビリっと微かな皮膚の破ける音がする…皆が息を呑むのが分かる…何十回繰り返してもこの瞬間の怖さは変わらない…一度メスを入れてしまえば、あとは自分の責任だ。
「まずは、皮膚を切除します…次に脂肪層、筋膜、筋肉、腹膜の順に切っていきます。チェ・ヨン…開創器で広げるから持っていて。華佗さん、火鉢から鍼をお願いします」
ウンスは深呼吸すると、熱した針を電メス替わりに子宮に横に這わせると、ジュッっと言う音を響かせ、白い煙と共に独特の人の焼ける匂いが立ち込める。
その上からメスを入れて、出血を抑えるようにしたのだ。卵膜を破ると羊水が溢れてきた…子宮の中にそっと手を入れ赤ちゃんを取り出しにかかる…ここまで5分くらいかな…予定通りね。
あっへその緒が首に巻きついている…良かった…
この子は、普通分娩では産まれてこられない運命(さだめ)の命だったのだ…
ウンスはへその緒を取り除きながら、ゆっくりと赤ちゃんを抱き上げお腹から取り上げた。
…泣かない…顔が真っ青だ…
ウンスは戸惑うチェ・ヨンに赤ちゃんを渡し、カバンの中から点滴のチューブを取り出しハサミで切ると、赤ちゃんの口に入れ何度も羊水を吸い出した。
頑張って!生きて…お願い…
けほっとむせると、赤ちゃんが元気良く泣き出した…
良かった…ウンスの瞳からも涙が零れ落ちる…
「小喬さん、周瑜さん…元気な男の子よ…おめでとうございます」
ウンスはへその緒を鉗子で止め、周瑜にハサミで切ってもらい、布で軽く赤ちゃんの汚れを拭うと、小喬の隣に寝かせた。
「ウンス様…本当にありがとうございました」
「おめでとう…まだこれから処置が残っているので、お乳はまだ上げないでね」
「ウンス殿、なんと礼を申して良いか…本当にありがとう」
「赤ちゃんが頑張ったおかげよ。ほら、二人共泣かないで!笑って。ふふ」
あと少し…腕にはもう全く力が入らないほど疲労していたウンスだった…
**************
ようやく産後の処置を終えた頃、赤ちゃんはお腹が空いたようで、大きな声で泣き出していた。ミルクのない時代…もう少し時間を開けたかったが仕方がない。
「小喬さん、もうお乳を上げてもいいわよ。ほら周瑜さん以外の男性陣は外へ出てて!座るとお腹が痛いと思うから、寝せたままであげてみて。一番初めに出るお乳には、赤ちゃんに必要な免疫…えっと病気から赤ちゃんを守るお母さんの愛がいっぱい含まれているの…だから少し痛いと思うけど頑張ってあげてね」
「はい、ウンス様…痛みなど…この子のためなら…どうということもありません」
小さな口いっぱいにお乳を含み、一生懸命吸う姿に…3人は頬を緩め、いつまでも眺めていたのだった…









…泣かない…顔が真っ青だ…
ウンスは戸惑うチェ・ヨンに赤ちゃんを渡し、カバンの中から点滴のチューブを取り出しハサミで切ると、赤ちゃんの口に入れ何度も羊水を吸い出した。
頑張って!生きて…お願い…
けほっとむせると、赤ちゃんが元気良く泣き出した…
良かった…ウンスの瞳からも涙が零れ落ちる…
「小喬さん、周瑜さん…元気な男の子よ…おめでとうございます」
ウンスはへその緒を鉗子で止め、周瑜にハサミで切ってもらい、布で軽く赤ちゃんの汚れを拭うと、小喬の隣に寝かせた。
「ウンス様…本当にありがとうございました」
「おめでとう…まだこれから処置が残っているので、お乳はまだ上げないでね」
「ウンス殿、なんと礼を申して良いか…本当にありがとう」
「赤ちゃんが頑張ったおかげよ。ほら、二人共泣かないで!笑って。ふふ」
あと少し…腕にはもう全く力が入らないほど疲労していたウンスだった…
**************
ようやく産後の処置を終えた頃、赤ちゃんはお腹が空いたようで、大きな声で泣き出していた。ミルクのない時代…もう少し時間を開けたかったが仕方がない。
「小喬さん、もうお乳を上げてもいいわよ。ほら周瑜さん以外の男性陣は外へ出てて!座るとお腹が痛いと思うから、寝せたままであげてみて。一番初めに出るお乳には、赤ちゃんに必要な免疫…えっと病気から赤ちゃんを守るお母さんの愛がいっぱい含まれているの…だから少し痛いと思うけど頑張ってあげてね」
「はい、ウンス様…痛みなど…この子のためなら…どうということもありません」
小さな口いっぱいにお乳を含み、一生懸命吸う姿に…3人は頬を緩め、いつまでも眺めていたのだった…









皆様、おこんばんは~~

この時間まで起きてると
いつも腹が減る私です

でもふと~る

食っちゃイカーン

…仕方ない…
酒でも呑むか…
今日は無口なヨンがウンスを守るため
かなり語りましたヨン

褒めてやって下しゃんせ

ちびちびと、昼休み&3時休憩に
コメ返してるのですが

なかなか追っ付きません

許してね~~ん

あっ!そうそう!
シンイ別館稼働しました

たぶんFC2の不具合だったのかな

あっちは笑って許して下さる方のみ

ご覧下さいませ

まだ記事は画像付きのみですが

増やしていこうと思います

では
最近この挨拶ばかりで

おやすみなさい

