見つからない…どうしよう…
落ち着いて。落ち着くのよ、ウンス…
焦った顔をしたらだめ。
背中を冷たい汗がすっと流れ落ちる…
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「では、始めます。」
麻酔の効いている曹操の身体に一筋メスを入れる。出血はほとんどなかったのだが、周りにいる曹操の御指名の部下…蔡将軍に夏侯将軍が刀に手をかけたまま…息を飲む…目の前いる華佗は、真っ青な顔をして立っていた。そして私の右側にはチェ・ヨンが器械出しをしてくれている…大丈夫…虫垂炎のオペなら何度もやったわ…ここにはチェ・ヨンも居てくれる…
「華佗さん…あなたはよく見ておいてくださいね。いずれ自分で出来るように」
「えっ!?は、はい…」
「ただ…曹操さんは普通の人と違うんです」
「えっ?何が?」
「…内蔵が普通の人の反対側にあるのです…」
ー内蔵逆位
そう…曹操は内蔵逆位なのである…現代でも数千人から数万人に一人の割合で見つかる事がある…内蔵が全部反対の人もいれば、一部分のみ反対の人もいる。その程度は人それぞれ…
ここにはもちろんCTもMRIもない。現代でも開いてみないとわからないところもある極めて稀なケースなのだ。
だけどCTがなくともわかる…曹操はおそらく内臓逆位だ。虫垂の位置が反対の左側にきているのだ。
何故なら心音も右側から聞こえてくる…全ての臓器が反対なのではないかと思われた…
内臓逆位のオペはとても難しい…人により何がどこまで反対になっているかわからないからである。上下が逆になっていたり、臓器の裏表が逆だったりするのだ。動脈の位置を読み間違え切ってしまったら…
普通にあるべきところに臓器がない。虫垂を探し出すのも一苦労なのである…
普通にあるべきところに臓器がない。虫垂を探し出すのも一苦労なのである…
でもやるしかない…落ち着くのよ。ウンス。あなたならきっと出来るわ。
チェ・ヨンをこれ以上危険な目に合わせられない。
慎重に腹腔内を探り虫垂を探す…
見つからない…どうしよう…
背中を冷たい汗が流れ落ちる…
あっ、汗が患部に落ちるっ!?
スローモーションで自分の汗が落ちていく・・・・・
あっ!?
チェ・ヨンが落ちた汗をその手で掬い上げ、ウンスの額に滲む汗も拭ってくれる…はっとした…この人は私を信じ、私だけをずっと見てくれていた…肩に入っていた力がすっと抜ける…彼を見ると微笑み頷いてくれていた…
「ありがとう…もう大丈夫よ…」
ゆっくりと腸の先端についている虫垂を探し出す…
あった!もう少しで虫垂が破裂し、腹膜炎になりかけだった…間に合ってよかった。
慎重に虫垂を切り取り縫合に入る。やはり左側に虫垂があった。たった一度の経験しかなかったが…レジデントの時、見学に入っていて本当に良かったと思っている。人の人生って…偶然の出来事なんて一つもなくて…全てが必然なのかもしれない…
「縛ってカット、縛ってカット…はぁ…これで手術は終わりです。もう大丈夫よ」
華佗が曹操の脈診をする。しっかりと打つ脈に驚きを隠せない様子だ。
「おい!華佗!どうなのだ?丞相は腹を切られたのに生きているのか?」
「はい…生きておられます」
「何故目が覚めぬ?」
「あっ、まだ麻酔が効いていますから。あと2刻もすれば目が覚めると思うわ」
「本当にあなたは…あなた様は神なのですね?」
「ふふ、信じて貰えましたか?でも華佗さん…あなたもお腹を切って治療が出来ると聞いたんだけど。麻沸散て知ってる?」
「まさか!私が腹を切るなどとんでもない!麻沸散とは?」
「イムジャ!大丈夫ですか?さぁ、一旦戻りましょう…」
「ふぅ~…そうね…かなり緊張していたみたい…華佗さん、ここにある道具をあなたに差し上げます。全て沸騰したお湯の中にいれ、1刻ほど煮沸してから取り出して保管していて下さいね…曹操さんの目が覚めたらまた呼びに来て」
「はい、かしこまりました…」
二人はチェ・ヨンの鬼剣を携え、悔しそうな蔡将軍に夏侯将軍を尻目に…その場を後にしたのだった。








皆様 おはようございます

今朝は少し体調がおかしなことに

ついに負けたか
アルコール

でも
まだ月初めの仕事終わらず
行くしかありません

40℃はないので

インフルちゃんではなさそうだけど

休みたいよ~~

頭がいた~い

皆様もお気をつけあれ~

では今日も一日
アンニョン

ゲホッ

