その一刻前のこと…
屋根の上に身を隠していたテマンとシウルもまた動き出す…
「テマンさん…あいつらどうする?あれ…たぶん眠り薬だぜ。さすがに大護軍まずいんじゃないのか?」
「大護軍に限って、あんなものでやられるとは思わない…医仙様を背に守ってるんだ。今の大護軍がどれだけ強いか…俺だってわからない…命知らずな阿呆達だ」
「あはは、確かにな!医仙を守る大護軍に楯突くなんてな~。くわばらくわばら…で、テマンさんは近くに行ってみるだろ?俺はここから弓で狙っとくよ」
「あぁ、頼んだ」
************
「おい!お前…この女の手足を寝台に括りつけろ!それから気付け薬を嗅がせて起こしてやるからな…医仙殿…俺は嫌がる女を動けなくしてから抱くのが好きなんだよ!眠ったままじゃ良い声が聞けんからな!天界の女人の味はどうだろうか…たっぷりと可愛がってやる」
「うっ!」
後でどさりと音がした…何事かとヨンジンが振り向くと下男が倒れていた…横を見るとチェ・ヨンと呼ばれたこの男の足元が見えた。足に小刀を刺し、真っ赤な血で染まっているこの男の足が…
「お、お主!この薬を嗅いでも眠らなかったのか!?これは虎でも気を失のうてしまうほどの威力があるのだぞ?お前は、化け物か!まさか自分に刀を刺し、意識を失わぬようにしたのか?」
体中から発する怒りの気…近寄るだけで相手を弾き飛ばしてしまいそうだった…
「お前は信用ならんと申したはず。死にたいのか?その汚い手を離せ!その方に指1本でも触れることは許さん!」
「おい!お前達やれ!」
男達は我先にと逃げ出した!逃げなければ殺されると本能が教えている…そのくらいチェ・ヨンは恐ろしい形相をしていたのである。
「一度…死んでみるか…」
そう言うと鬼剣を鞘から抜き放った!
「た、助けてくれ…ま、まだ何もしてないではないか!た、頼む!」
一気にヨンジンに向かって鬼剣を振り下ろした!
「うぅ…」倒れたヨンジンの懐から、気付け薬を取り出し、力なく横たわっているウンスを抱き起こし薬を嗅がせる。
「う…うん…あれ?チェ・ヨン…もう朝なの?まだ暗いじゃない…頭が痛い…もう少しだけ眠らせて…」
と、チェヨンに凭れたまま、眠ってしまった…まったくこの方には敵わない…
「テマン!シウルと共にこいつらを運び出せ!」
音もなくテマンが入ってきた。
「はい!大護軍!わ、わかりました。足から血が…これで縛って、お、おきます」
「あぁ…どうということもないが…イムジャが心配するといかん。頼む…すまんな」
*********
朝までぐっすりと眠ったウンスが目覚めると、チェ・ヨンが寝台に凭れて眠っていた…ただ、それだけで瞳が潤んでしまうほど嬉しくって、顔が緩んでしまう…。そっと後から肩越しに顔を覗き込み、指で頬を突付こうと思ったらチェ・ヨンにぎゅっと手を掴まれた…。
「やだ、もう起きてたの?少しは眠れた?私がこっちに帰ってから眠ってないんじゃないかと思って…」
「ふっ、俺は何日も眠れる分…何日でも起きていられるのです。あなたを安全なところにお連れするまでは、寝ずとも大丈夫。それに寝る時間が惜しい…イムジャの寝顔を見るのも俺の楽しみゆえ」
「もう…少しは眠って欲しいのに…あれ?ここに血がついてるわよ!怪我したの?ちょっと見せて!」
ウンスは飛び起き、チェ・ヨンの足をチェックする。
「ねぇ…これって刀傷じゃない…どうして………私がのんきに寝てる間に何かあったのね?…ごめんなさい…ちょっと痛いけど我慢して。ふた針位縫っておいた方が早く治るから」
「たいしたことはありません。昨夜…やはりあの男が悪さをしたので少々…」
「チェ・ヨン…ありがとう。それでヨンジンさんは?あなたまさか…」
「いえ…斬ろうと思いましたが…皆みねうちに致しました。本人は死んだと思うた事でしょうが…」
「ありがとう…あんな人でもこの町ではたった一人の医者なんだもの…腕も悪くないし…で、今はどこに?」
「町の広場に下男と並べて吊るしてあります。さて、どうなっていることやら…反省をしておると良いのですが…」
「そうなの…じゃあ見に行ってみましょう!」















皆様、おはようございます
りえ様のシンイで年越し
悩みましたが
参加させて頂く事にしました
そして、今から
少しずつそちらに取りかかりたいと
思いますので
しばらくお話が短くなるかも
しれません
お許しを~~
でも続けては書いて行くつもりです
今日は休日です
コメ返やっとお返し出来ます
皆様、いつも本当にありがとう
では、アンニョン

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