イムジャ…もうすぐ木枯らしが吹き、まっしろな雪の舞い散る季節が訪れようとしています。この所、イムジャのお陰で力を取り戻し、日々恙無く生きております。道場へ足を運ぶことが日課となり、子供達は可愛い声でこの俺を師匠、師匠と慕うてくれております。
俺は、人に教えることが好きなのかもしれません。小さな迂達赤達や武閣氏達を前に、昔を思い出しておるところです。
もしや、イムジャは知っておったのですか?
俺のことは、俺よりも良くご存知のあなたのこと…わかっておったのでしょうね。天へ戻られてなお…俺のことばかりを心配してくれるあなたが恋しゅうて仕方ありません。
そちらは寒くはないのですか?寒がりなあなたが俺の腕の中に居らぬ初めての冬…イムジャの温もりばかりを求め探しています。寒がりだったのは、俺の心だったのかもしれません。イムジャに温もりと安らぎを与えてもらっておったのですね…
亡くして初めて気づいた…俺は阿呆です。
残り少ないあなたからの恋文…今宵はハヌルが子を連れ、共に参ってくれました。イムジャが昔、申しておりましたね…ハヌルの子は自分の子供の頃にそっくりだと…今、俺の膝の上で楽しそうに笑ろうてくれております。あたなから貰ろうた悦びがここに…柔らかな命をもって俺を生に繋ぎ止めているのです。
「父上…では読みますね…」
愛するチェ・ヨンへ
チェ・ヨン、元気にしてますか?
子供達は遊びに来てくれるかしら?
昔あなたに言ったわよね?そんな事だと独居老人になっちゃうわよって。
覚えてる?
でも今のあなたは沢山の子供達に囲まれているはず。
子供って不思議な力があるのよ?だから逆らわず身を委ねてみてね…
あなたは一人じゃないんだから。
私には…恐らくもうそんなに時間が残されていないかもしれない…その位今日は身体が辛かった…布団に臥せってしまった私の横で、ずっと手を握って居てくれたあなた…
食べたいものはとあなたが聞いてくれたから、あなたの作ったクッパが食べたいと言ったら、作ってくれて…。知ってた?あなたのクッパは絶品なのよ。大きなあなたが小さな台所で悪戦苦闘してる姿を後からそっと眺めていたら涙が出たわ…幸せだなって。
そんなあなたを見ていたら、ずっとずっと昔のことをふっと思い出したの。
父が風邪をひいて熱のある母に、食事を作ってあげていたことを…。やっぱり、私は今のように後ろから眺めていたわ。そしてこの香り…父の作ったものと同じ匂いがするのよ。香りが忘れていた記憶を呼び起こしてくれた。ありがとう…
そしてね、私が一人暮らしをする時に言われたことも思い出したわ…
「親はな…子供の記憶の中で生き続けていければ良いんだよ。ウンスや、苦しいことや辛いこともあるだろう…だがな、そう言うときこそ微笑を忘れるんじゃないぞ。俺たちは離れていてもいつもお前の中に居ることを忘れるな」
そう父に言われたことを…
だからここに来てからも…
ずっと私は両親と一緒だったわ…
チェ・ヨン…
忘れないで…
私もいつまでもあなたの記憶の中に刻まれ、生き続けていくという事を…
哀しまないで…
私の死があなたをいつまでも苦しめませんように…
ウンス
「母上…だいぶ身体がきつかったのか、筆が乱れてかなり読みにくいです。こんな状態でよく…あの頃も母上は笑っていましたね。私は母の笑った顔しか思い出せないのです…辛そうな顔や泣き顔など…あまり見たこともなくて…」
「あぁ…母は強い女子だからな…この父をいつも守ろうとしてくれた方だ。お前も俺も本当に母上に巡り合うことが出来て幸せだな」
「はい…母がひたすら先の世のお爺様、お婆様に宛てた沢山の手紙…あれを見ただけでも母の強さがわかります…届くともわからぬのに、何十年も諦めることなく書き綴った母の想い…。父上、私は必ずこれを先の世へと繋いでみせます。母の子ですから諦めません」
「ハヌル、すまぬな…俺のかわりに頼んだぞ。おぉ…いつのまにか眠ってしもうたな…寝顔までイムジャによう似ておる」
「はい、気が強くてお転婆なところもです。ふふ」
「あぁ…きっと良い子に育つであろう…ハヌル今日もすまなかったな」
「いえ…では父上また明日参ります」
イムジャ…あなたは確かに俺の中に刻み込まれている。
もうすぐあなたに逢えそうな気がします…
イムジャ…永遠に共に…










皆様こんにちは
“鉄は熱いうちに打て”
と言うことで
書いちゃいました
仕事中
インターステラーからの~~恋文ですな
給料泥棒のはるでした




では午後からもファイティン

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