チェ・ヨンがウンスに後を向かせ、鎧を脱がせながら
「もう…徳成府院君にイムジャがここにおると知られたと思わねばなりません…」
ウンスの鎧を横に置くと、いつもの事だとばかりに自然と背を向け、今度はウンスに鎧を脱がせてもらう…
「じゃあどうするの?また他のところに逃げなくちゃいけないの?それともどこかに隠れる?」
「…遊びに行きましょう」
「えっ?何て言ったの?今…隊長」
鎧を脱がす手が止まった。
「遊びに行こうと言ったのです。何か欲しいものはありませんか?」
「私に何か買ってくれるの?」
「服、必要ですか?」
「隊長、お金あります?」
「はい、恐らく…多分多いです。今までの禄として貰った物が。」
「じゃぁ色々買っても良いの?服や靴に装飾品なんかも全部?」
「大丈夫です」
「嬉しい!いつ?」
「部下に指示を与えてから…直ぐに」
ウンスはもちろん買い物も嬉しいのだが、何より初めてデートが嬉しくて仕方なかった。溢れ出す笑みを湛える口元を両手で覆う。
「はっ、そんなに嬉しいのですか?」
うんうんと頷き、彼の鎧を脱がせるのも忘れ、出かける準備を始める。
仕方なく自分で鎧を脱いだチェ・ヨンの目にウンスが作っている解毒剤の器が目に入る。
「…まだ諦めていないのですか?」
「ん?何のこと?」
「解毒剤をつくること…そしてここに残ること…」
「待っててみて。必ず成功させてみせるから…」
「絶対に諦めないのですね…何事も…」
嬉しいのか辛いのか…………哀しいのか…チェ・ヨン自身も自分の気持ちが掴みきれない…
「だから慣れてね、ふふ、抵抗しないで」
チェ・ヨンは着替えの服を探すウンスの後ろ姿をしばらく見つめていた…
そして聞こえないような小さな溜息をつくと
「では、イムジャ…着替えてここで待っていて下さい。すぐに部下達に指示を与えて戻ってきます」
「はい!了解しました!隊長」と敬礼をする。
ふっと微笑み合う二人…
ウンスはチェ・ヨンとの初めてのデートなので、迂達赤の服で出かけたくなかった…かといって、医仙だと宣伝して歩くわけにも行かないので目立たない服に着替え、髪はいつものようにお団子に丸めて頭の天辺に結わえ、赤い髪を隠した。
着替えを終えチェ・ヨンを待つ間に、ちらっとウンスは溜息をつきながら、自分で培養している解毒剤を垣間見る…
今だけは…自分が毒に冒されていることは忘れようと思った…さっき彼に言った事ももちろん事実だ。何があろうと彼とこの地で生きていきたい…絶対に解毒剤を作ると言う諦めない強い思い…ううん、願いなのかな…
だけど培養するにも何の設備もないこの時代…出来なければ死…
それでも現代へ帰るという選択肢は自分の中にはない。
彼と共に…生きていく。諦めなければきっと叶う…はず…
今は…そうよ!今を楽しまなくちゃ。後悔しないように…ウンス、笑って!もう駄目かもしれないと思った時こそ笑わなきゃ!お父さんにいつもそう言われていたじゃない!笑えばその瞬間だけでも楽しくいられるって…
その頃…
「テマン!居るか?」
「は、はい!隊長!」どこからともなくテマンが現れた。チェ・ヨンはテマンにあれこれ指示を出していく。テマンはいつもの如く、チェ・ヨンの言葉を何度も復唱して身振り手振りで覚えていく。
「お前は皆に今の言葉を伝えたら、急ぎ気付かれぬよう俺達の警護にあたれ!良いか?」
と、お金の入った巾着袋を渡す。
「はい!隊長!」
あっという間にテマンは居なくなる。
チェ・ヨンが自室に戻ると、ウンスが薄く紅を差しているところだった。その美しさについ見とれてしまう…ウンスはチェ・ヨンに気付くと、身に纏う花の香りと共に溢れんばかりの笑顔で走りよる…
「隊長、どう?たまには口紅をつけてみたんだけど?」と、下から可愛らしくチェ・ヨンを見上げる。
「う、うん…さぁ…終わりましたので参りましょう」
「はい、隊長!」
*******
二人はチュホンに乗り、市場通りまでやって来た。チュホンから降り、並んで町を歩いていると、ウンスは幼子のように嬉しくなり、辺りをキョロキョロと見回している。武閣氏やテマンと町へ来た時とは全く異なり、心が沸き立つように弾んでいるのを抑えきれなかったのである。
チェ・ヨンはウンスに気付かれないように辺りを見回し、警戒を怠ることはなかった。 ウンスを見ると、自分の真後ろの店に入って行くところであった…
チェ・ヨンは溜息をつき、ウンスの後を追って行くのだった…
続く
皆様こんばんは
本日は、早速あの時のお買い物デート
シナリオを訳して下さっている
STさんのご了解を頂き
若干の肉付けをさせて頂きました

長くなってしまったので


明日に続く
ですが
シナリオ&シンイの原文の 本を訳して下さっているSTさん
凄いですね
尊敬するシン友さんです


今回も本当にありがとうございました
┏○))
では、明日へ続く




アンニョン

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