19.鬱憤 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

カサカサ…という落ち葉を踏みしめる音がゆっくりと近づいて来る。普通の人間では聞き逃してしまうほど僅かな音であったがチェ・ヨンはその音を聞き逃すことがなかった…確実に2人に近づくようにまとわり付いてくる音…。

 

 

イムジャチグンと言ったらあそこの木まで走って下さい

小声で話すチェ・ヨンにうんうんと頷く…すぐ様、

「チグン!」

 

ウンスは、転びそうになりながらもチェ・ヨンに言われた方向に向かって必死に走った!彼の足手纏いにだけはなりたくなかったのだ。彼と生涯を共に生きたい、そして彼を守りたい…ただそれだけを願って、天穴を…再びこじあけたのだから…

 

暗闇の中、怒号や剣の交わる音…あちこちから枯葉の中を駆け回る音が聴こえる!ウンスは頭を抱え、息を殺してチェ・ヨンが来るのを待った…

 

後でカサっと音がして振り向こうとした瞬間…後から腕を回され身体を掴まれ、喉には小刀が押し当てられていた。

 

「あっ!」

 

「イムジャ?!」

 

「おいお前!剣を捨てねばこの女の命はないと思え!早く剣を捨てろ!こいつがどうなってもいいのか?」


「ちょっと離してよ!離してったら!」


男は抵抗するウンスに更に小刀を押し付け、首からはうっすらと血が滲んでいる。そして身体に回されている手を妖しく蠢かせた男がニヤっと笑った…ウンスは必死に逃れようとしている。



チェ・ヨンの身体からは、抑えようのない怒りでパチパチと雷攻が迸り、仄かに全身が輝いて見えるほどだった。

 

「死にたくなければその手を離せ」

血の管を逆流してくるような憤りで神経が張り裂けそうになる。

 

「お前は阿呆か?俺が剣を捨てろと言うているのだ!後ろも囲まれておるであろう!この女は俺が可愛がってやるから安心しろ!はは…?あっ!!」

 

チェ・ヨンが後ろを振り向きざまに鬼剣を一息に振り下ろす。すぐ後ろに迫っていた2人が一太刀で事切れる…。


「生かして捕らえるつもりであったが…もう遅い!死んでもらう」


一歩一歩…その男に歩み寄ると、男はウンスを捕らえたまま、後ろへ後ずさる。相手の度量を図る術はわからずとも、目の前にいるチェ・ヨンの…全身から発せられている、燃え盛る炎のような怒りに触れ、畏れを感じていたのだ。周りにいる男たちも同じように近づけずにいた…


「ち、近付くんじゃねぇ!俺たちが誰か知っての所業か?キム様に言って…」


「キムはもうおらぬ!捕らえられ刑に処されるであろう…わかったら早くその手を離せ」 


「な、なんと言った?おい!来るんじゃねぇか!この女がどうなっても良いのか?」


一瞬の出来事だった…男がチェ・ヨンに向かって来るなと小刀を差し向けた瞬間、ウンスは男の腕を噛みつき、緩んだ腕から逃げようとしたところに、チェ・ヨンが二人の隙間を縫うように小刀を投げる!


男の首に小刀が刺さりその場に倒れた…。チェ・ヨンは力なくしゃがみこんだウンスを助け起こし狂おしい程に抱き締め、首の血をそっと舐める。そしてまだ周りにいる男達に、収まらぬ鬱憤をぶつけようと雷攻を放とうとした。ウンスは差し出された腕をそっと掴み

「もう、私は大丈夫だから止めて…」


「しかしイムジャ…ここで逃がせば、こ奴らはまた同じ事をする」


「じゃあ殺さないで捕まえて?」


ウンスの髪を撫でながら

「あなたと言う人は…。イムジャを殺そうとした奴らですよ?はぁ…わかりました。では、殺さぬ程度に…」と雷攻を放つ!


逃げようとして居た者たちは、雷攻を背中に受け弾き飛ばされ、みな気を失ってしまった。


「心配かけてごめんなさい…あなたの足枷にだけはなりたくなかったのに…」


「いや、俺の責任です。あんな奴にあなたを触れさせるなど…己が許せぬ…だがイムジャ、俺をこの世に繋ぎ止めてくれているのは、あの時よりイムジャだけなのだ。足枷などと二度と言わんで下さい。イムジャを守り、そして共に生きる…それが俺の命の意味であると、今なら思えるのだから…」


ウンスはそれまで張り詰めていた糸が切れ…ふっと意識を失いそうになる。

 

「イムジャ!大丈夫ですか?」チェ・ヨンがウンスを片腕で支える。

 

「大丈夫よ…あなたは怪我はない?」

 

「ええ、何ともありません。一旦村に戻りましょう。こ奴らを捕らえねばなりませんから」

 

「その人たちって…」

 

「こ奴らは今朝村に来て、あの娘を連れて行こうとした者たちです。この先の村へ行きその帰りかと…。俺が道を岩で塞いでやったのでこのような時間にキムの屋敷へ戻る途中なのでしょう。捕らえられたとは知らずに…」


「そうだったの…それなのに…。ごめんね」 


 

こんな奴らでも生きている事で、ウンスがホッとしているのがわかる。斬り捨てることの方が容易いのだが殺さず良かった…ウンスは何一つ変わらぬのだとフッと笑みがこぼれる。

 

「山を下りこの者たちを捕らえるよう迂達赤に指示を出さねば…程なく目を覚まします。急ぎましょう」

 

「まだツワブキの葉が見つからないのに…でも仕方ないわね。わかったわ…きゃー」

 

足元にあった木の根に足を取られ転びそうになった所を、後から腰を抱え込まれる。


「イムジャ!気をつけて!」

と、ウンスを抱き上げそのまま山を降りる。


「重いでしょ?ありがとう」


「イムジャの温もりが…現実だと教えてくれる。何度あなたをこの腕に抱く夢を見たことか…。幸せなこと、この上ない……………ん?テマン!戻ったのか?


テマンが走ってこちらへやって来た。


「は!大護軍!な、何かありましたか?雷攻が…トクマンも程なくやって来ます。」


「すまぬな、こ奴らを捕らえ村まで連れて来てくれ。死んでいる者たちは…埋葬してやってくれるか


「はい、わかりました」


「あっ!あった!ツワブキの花よ


「き、傷薬になる葉ですね。山で生きていた頃、覚えました。」テマンが葉を採ってウンスに渡した。


「テマンくん、ありがとう。見つかって良かったわ。早くあなたとチュンソクさんの治療をしなくちゃ…」


「はい、ちゃんと掴まっておって下さい」




微笑み合う2人の背中を見つめテマンは思った…この2人は共に居てこそ初めて“生をいきる”のだと…あの笑顔を守る為なら己の生命をかけようと改めて誓うテマンでした。



 

 

 




皆様お久しぶり~ん


お待たせ致しましたえっ待ってない


お仕事はだいぶ落ち着きまして


6日が長男の23回目の誕生でして、その日に合わせちまちま書いていたのですが


いろいろあり、今に至ります 


いや~忙しかった


まだ、伝票は山のように残っておりますが、取り敢えず本社に出さなきゃいけない書類は終わりました



そして、今回は有給を受理して頂き、ありがとうございました


今後もたまに有給頂くと思いますが


お許しを


これからコメ返&メッセのお返事&グルっぽへ行って参ります


では、お天気悪いですが今日も1日アジャ


追伸~

お話も更新していないのに

皆様、復習して読んで下さって

本当にありがとう

私は幸せ者ですな…





 

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はる
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