愛するチェ・ヨンへ…5 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

イムジャ…そこにおりますか?昔とは逆ですね…今俺が、イムジャと呼ぶとあなたを感じることが出来る…。ふわっぁとイムジャの香りが俺を包み込むのです…。


これまでは、食欲のない俺の身体を気遣い夕餉を共に食べ、家族の待っておる家へと帰って行ったハヌルとパダが、イムジャからの恋文を見つけてからと言うもの…夕餉の後も俺と共に寄り添い、恋文を読んでくれ、あなたの温もりを一緒に探してくれる日々を過ごしています。


これもあなたが良く言っていた“天界のえいが”なるものに出ておるのですか?イムジャの作戦なのでしょう…?俺が淋しくないようにと…。我らの子はあなたに似てとても心根の優しい、信義に厚い子供達に成長しました…。

 

子供達が参ったようです。またイムジャの心の内に触れて参ります。

 

 

「愛するチェヨンへ」

 

ハヌル、パダ…この手紙を読んでくれているのはあなた達よね…ありがとう。父上はどうかしら?ご飯をちゃんと食べているみたい?睡眠はとっているのかしら…。心配なことばかりよ…。

 

2人には、本当にいろいろな事を頼んでしまったわね…未来へと届けて欲しい手紙の数々、他言無用の…言い伝えていって欲しい昔話…そして一番の母の願いは、あなた達の目の前にいる父上を、慈しみ守ってあげて欲しい事…。

 

父上は、今までずっとずっと母を…そしてあなた達家族をこの国と同じ位…いえそれ以上に守り愛してくれていた。それは私が隣にいられなくなった今ももちろん同じだと思うわ。

 

私達を背に庇い…守りながら父上はずっと戦ってきたのよ。自分の命も守りながらね…。それがどれ程大変なことか…戦を知らない医師の、あなた達にはわからないかもしれない…。

 

父上が倒れてしまえば、私達を守れなくなるでしょう?それは、私達の死を意味するの。だから父上はいつも、命をかけて戦っていたけれど、死ぬつもりなど全くなかった…。私たちを…そして自分を生かすためにいつも戦っていたの。

 

だから今度はあなた達に、父上を守ってもらいたいの…。未来へと届けて欲しい手紙や、昔話…それはね出来なくても良いのよ…微かな望みなだけだから…

 

だけど父上だけは…チェ・ヨンの事だけは見ていてあげて欲しいの…最後まで…。この間約束してくれたわよね…。側に寄り添っていてあげるだけで良いから…。

 

それから今までの話は父上には言わないでね…お願いね?

 

 

チェ・ヨン…ちゃんと毎日ご飯食べてる?

 

眠れてるの?

 

笑ってくれている?

 

私の居なくなったあとの、淋しそうなあなたの姿ばかりが思い浮かんでしまうわ。でもきっとあなたなら大丈夫って信じているから…


この間…海を見たいと無理を言ってごめんなさい。あの日とても良いお天気で暑いくらいの秋の日だったから、最後にどうしても行っておきたかったの…。子供の頃から海が大好きだったから…

 

あなたは急ぎ馬車と御者を頼んでくれて、二人でのんびり一番近くの海まで行ったわね。この時代海は、魚や貝を取るための場所でしかない。昔、海に泳ぎに行きたいと言ったらあなたは本当に驚いていたわね。何をしに行くのですかって…

 

天界にいた頃…悩みがあると一人海へ行っていたの。夕日が水平線に沈んで行くのを見るのがとても好きだったわ。あの瞬間、もう悩むのをやめようっていつも思っていたの。それで今日もどうしても来たかった…。あなたが、いつも心配する青白い顔色も、少し日焼けをすれば良くなるでしょ?

 

子供の頃…両親と遊びに行った海…とても楽しかった。海ってね、どこの海でもとてもよく似ているのよ。だから好きなのかもしれないわ。でもそれは両親の元へ帰りたいと言う事ではないから、そんな風に思わないでね?

 

あの日、あなたと二人手を繋ぎ潮風に吹かれながら歩いた砂浜…あの時、あって思ったの。これは前に見た事があるって…既視感だったのかもしれないわね。でも男の人と二人で砂浜を歩いたことなんてなかったのに…。

 

風が冷たくなってきたから帰りましょうと言うあなたに、どうしても夕日がみたいと我儘を言ってごめんね。悩みをひとつ海に沈めて帰りたかったの。大きな大きな流木に座り、あなたに包まれながら見た夕日…キラキラと輝いて本当に美しかったわね。

 

結局、あなたの心配通り熱を出してしまって…心配そうに覗き込むあなたを見ていたら、いろんなことが思い出されたわ。いつも私の隣にはあなたがいてくれた。手を伸ばせば私の手を握ってくれる温かくて大きな手…熱にうなされ、“チェ・ヨン…そこにいるの?”と問えば、“はい、ここにおります”と答えてくれる、あなたの優しい声…

 

その全てが今、私の心を満たしてくれているの。病など弾き飛ばしてしまえそうなほどにね…私を生かしてくれるのは、あなたの限りのない愛なのね…だから心配しないで?時々ふっと心に聴こえる死の足音…この海に捨ててきたから…。


チェ・ヨン…何度でも言うわね。

私はあなたと共に生き、本当に幸せな生を全う出来ました…。

欲しいものなんて何もない…だからあと少しだけで良い…あなたと共に歩く時間だけ…ただそれだけを望んでいるわ…。


私の死が…あなたの心を凍らせる事のありませんように…


チェ・ヨン…愛しているわ。これからもずっと…。







「母上、すみません…。父上にも聞かせてあげたかったので、読んでしまいました。笑って許して下さいね。」


「ハヌル…ありがとう。すぐ側にイムジャがおるようだ…。」



イムジャ…俺もあの時そう思っておったのですよ。この海を前にあなたと歩いた事があると…。

守られておったのは俺の方なのです。あなたがおらねば、俺は疾うに…。イムジャ、ありがとう…。

 

 

 

 



おはようございます


kさんにリクエスト頂いたお話です


海へ小旅行に行った時のお話をと…


これもやっぱり若い時の話が必要ですな


あ~~では会社行ってきます( ー`дー´)キリッ