シュッ!!
向かいの屋根から弓が射られ、目覚めたソナは屈んで避けた!
ジフの反応も早く、ソナの上に覆い被さっている。
ソナは馬から飛び降りたかと思ったら、次の瞬間には足首に結わえられていた小刀を屋根へ向け投げる!
キーンという音がしたかと思うとまた、弓が飛んできた!ジフが剣で弾き飛ばす!
「誰だ!?出て来いよ!」
「あはは、ごめんなさい!綺麗なお姉さんがどんなもんか、ちょっとからかっただけだよ!」
屋根から顔を出したのは、スリバンのジホのところの子だった…
「さすがだね?寝てたのによけるなんてさ!」
「だってあなた、本気で狙ってたじゃない。殺してしまうところだったわよ?あ~もう服が汚れちゃったわ…さっき投げた小刀を戻して!」
ソナはチマについた汚れをパタパタはたいていると、足元にドスッと小刀が突き刺さる。ソナはキッとその子を睨みつける。
「お~こわっ! そうそう、中にあいつらが来てるよ!強面も何人かいて守られってから気をつけてね?じゃあ俺達は上にいるからなんかあったら呼んでくれよな!」
「ああ、悪いな。あんまりこのお姉さんをからかうなよ!男慣れしてないんだから。冗談も通じねぇときてる…さぁ、行くか、ソナ」
「冗談くらいわかるわよ!ええ、いつでも良いわよ」
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2人が妓楼の中に入ると、周りが一瞬のうちに全て止まり、皆が一斉にソナを見る。男達の上から下へ舐め回すような、いやらしい視線は勿論だが、妓生達の嫉妬や羨望の眼差し…それらを全て弾き返すソナを見ていて、ジフは感心していた。強い女だと。まぁ、鈍いとも言えるか…
店主の部屋へ行くと、これまた店主までソナに見惚れていた。
「これは…なんと申して良いか…この様に美しい妓生はうちにもおりませぬ…。是非うちで働きませんか…?」
「何言ってやがる!こいつは武閣氏の大将で、この俺より強いんだぜ!お前死にたいのか?任で仕方なしに参ったのだ。」
「そうでしたか…勿体無いですね…。開京一の芸妓となれましたろうに…。」
「しつこいぞ!おい、奴らが来てるんだろ?相手ももう一緒なのか?」
「はい、来ております。うちで一番の妓生をつけて、たんと酒を飲ませてありますよ。」
「そうか…。ソナ、お前少し鍛錬しないといけないだろ?妓生の立ち振る舞いをここで教われ。」
「あぁ、そうね。すぐばれてしまっては仕方ないものね…私はソナと申します。どなたか私に教えて頂けますか?」
「もちろんです。今、教育係を呼びます。おーい!ユニや!」
後ろの扉がスーッと開き、厳しい顔つきをした年配の女子が入ってきた。
「ユニや、この方を2刻で一流の妓生にしておくれ。この国を守る武閣氏の大将だそうだ。任でいらした。故に床の方は教えずとも良い。」
「はい、承知いたしました。では…」
「ソナと申します」
(床?床って何よ?)
「ソナさん、こちらへ…ジフ様、お久しぶりでございますね。いつもご贔屓にして頂きありがとうございます。しばしお待ちを…」
「ああ、店主、俺にこの店の丁稚の服を貸してくれねぇか?俺も中に入らねぇといけねえのさ。」
「はい、かしこまりました。おい!丁稚の着物を用意しろ!」
ジフは着替え終わり、隣の部屋のソナを見に行った。丁稚が客の役でソナの肩など組み、その手を着物の合わせに入れようとしている。そしてソナに顔を寄せ口付けをしようとしている所だった。
ジフは自分でも気付かぬうちに身体が動いていた。サッと飛びさり、その男の後ろに回りこむと、ソナに触れていた手を捻じりあげ、喉元に小刀を押し付ける。ほんの一瞬の出来事だった。ジフは本気だったようで、男の首筋から一筋の血が流れた…。
「ジフ様?!これは鍛錬ですよ!何をされているのですか?」
「あ…すまねぇ…つい…」
パッと男から手を離すジフ。
「すまなかったな、これで勘弁してくれ…」
そう言って、銀子を渡した。
「へぇ…すんません」
「何を怒ってるの?ああされたら、どう対処するのかの鍛錬だったのに…。」
冷静にソナにまで怒られてしまった。
(俺だってわからねぇよ…勝手に身体が動いちまったんだからな…まだ気分が悪りぃ。心の臓が暴れてやがる。)
「ああ、すまなかったな…続けてくれ。」
「いえ、この方ならもう大丈夫かと…色気が全くなかったのですが、ジフ様が来られたら顔が変わりましたね…。ではお部屋に御案内致します。」
「奴らの隣の部屋を空けといてくれと、大将軍が頼んでくれてたろ?空いてるかい?俺はそこに居るから、酒とつまみを頼むぜ」
「はい、空けております。後でお持ちいたします。ではこちらへ…」
「ソナ、無茶するなよ。俺が隣に居るから何かありゃ、叫んでくれ…。」
「…大丈夫よ。ありがとう」
ユニの後を歩いていたソナの手を引き、抱きよせる。
「ちょっと!何するの?」
必死に離れようとするソナ。
「もう少しだけこのままで…。本当に大丈夫か?ソナ…」
「あなたらしくないわね…私なら大丈夫よ。ほら、もう行かないと。」
ジフの声が耳元で響き、始めての感覚にゾクっと鳥肌がたった。ソナは力を抜き、ジフに身を預けたのだった…















おはようございます
妓楼に潜入
まだお稽古だけでした
次回はちゃんと潜入致しますよ
今日行けばお休み



めちゃくちゃ嬉しい
では、今日も一日ファイティン


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