叔母上も陛下も、皆がもう天へ戻られたなら、こちらには戻って来ぬだろうと言った。しかし、俺には確信があったのだ。
今もイムジャは俺へと道を繋ごうと必死に戦っておられると。
そして、今日イムジャは俺の胸へと戻って来た…。
確信はしていたのだ。
してはいたのだが…。本当に…戻って来て下さった。泣きそうだ、俺。
一人100年前の地で戦い、俺の元へと戻れるかもわからぬのに、また天穴をくぐって下さったイムジャ…。それが、どれほどの思いか…。俺は貴女にどう報いれば良いのですか。
もう一度、武士の誓いをさせて下さい…。俺の全てをかけて、貴女を一生お守り致します。俺と一緒になって下さい。
イムジャは、笑って口付けをしてくれた。
私を守るの、大変よと昔と同じ事をおっしゃる。私があなたを幸せにしてあげるわね、そのために戻って来たんだからと、イムジャらしい事を言う。
あの日の俺は、喉の渇きを癒すかのように、何度も何度もあなたに溺れ、だいぶ無理をさせてしまった。
私は平気よ、夢ではないと想えるから。この心地よさも、気だるさも、あなたの汗の一筋も、全てが現実だと教えてくれるわ。あなたは、そう言って微笑んでくれましたね。
婚儀の日の翌日から、あなたは天界の決まりよと言って、挨拶の変わりに口付けしてね。きっすと言うのよ。後はハグね。こうやって抱き締めるの。わかった?と約束をさせられた。
こんな心踊る約束事なら幾らでも守りましょう。朝起きてあなたにきっすをする、俺の気持ちがわかりますか?
触れたくても触れられなかった貴女が、目の前に居る奇跡。きっすだけでは済むはずがない。
また遅刻するわよと、言われてもイムジャの誘惑には勝てぬのです。
俺の妻は天女である。
あなたの為に生きていきます。
死が二人を分かつまで。

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