若干、チェ・ヨンが顔に怪我をしたが、想定内である。ウンスが手当をしている。
ージフ、テマン、トクマン…イムジャを頼んだぞ!良いな!?
ーはっ!
3人は、迂達赤らしく片膝を付き頭を下げ、大護軍に礼をつくす。
ー妓楼にイムジャを行かせるなど…全くこの方ときたら…
ー大丈夫だって!医者として行くのよ?私が、あなたの妻だと知らない人は、もう居ないでしょ?私に何かするなんて…そんな怖いもの知らず…居るかしら?
ー確かにそれはそうなのですが…だから逆に俺を動かそうと、徳興君のような輩も出てこないとは限らぬのですよ?心しておいて下さい。どこに行くにも、こいつらの誰かを必ず付けて下さい。俺の心臓が持たない。良いですね!?
ーわかってるわ!じゃ行って来るわね。ピョルさんも心配しないで。トクマンくんてね、こう見えて本当はかなり強いのよ?だから、昔からチェ・ヨンは私の護衛につかせて居たの。自分の愛する人に弱い迂達赤を護衛につけたりしないでしょ?テマンくんも同様よ!迂達赤の中ではトップテン…えっと10本の指に入る程強いのよ。
ー…はい。トクマンさん、お気をつけて…。あの…男には…油断しないで下さい…。
ーピョルさん、俺は大丈夫!必ず奴に仕返しをして来ますから…行って来ます!
ーチェ・ヨン、あなたも心配しないで…。
そう言ってウンスはチェ・ヨンの腰に手を回し見つめ合う。周りの4人は、見ていられずに咳払いしながら、外へ出た。
ーイムジャ…本当に心配です…。俺も行きたいが…。これを代わりに…。
抱く手に力を込めるチェ・ヨン。
ーあっ…。ありがとう、チェ・ヨン…。
ー周りにはスリバン達も張り込ませておりますので何かあれば、使って下さい。
ーわかったわ。じゃあ行って来るわね。チュッ!
ー無理はしないで下さい。
ー大丈夫よ!あとでね!
ウンス達一行は、妓楼に着いた。難なく中に入り込む…。
ーこれは、これは…医仙様…。このような所へおいで頂き申しわけございません。
ーいえ、私は医師です。どこへでも参ります。早速ですが傷を拝見してもよろしいでしょうか?
そう言ってウンスは、皮一枚だけをチェ・ヨンに斬ってもらった腕と太ももの傷を見る…。それでも、ムカつくおじさんだから、少し深めに斬ってとお願いしたので、いい具合に出血もある。
ーあ…これは、縫わなければなりませんね…。麻酔がないのでかなりの痛みを伴いますが宜しいでしょうか?気を失うかも…。
ーえ…痛み…縫うとは?針と糸で?縫うのですか?
ーえぇ…そうしないと傷が腐ってしまうかもしれません…。
ウンスの目が光る…。
ーあっ、えぇ~っと…キセルを吸うて落ち着いてもよろしいでしょうか?
ーえぇ~もちろんです。どうぞ…
ウンスは、他の3人にも目配せをし、ここよと葉っぱの入っている場所を教える。
店主はキセルを吸うと、甘い香りが辺りに立ち込める…。
店主の顔を見ると、先程とは明らかに顔が違う。虚ろで、口元にも力が入らないようである。
やはり…ウンスは自分の考えていたことが、当たって居たと確信する。
ーもう、宜しいでしょうか?
ー……な なにが……?
ー傷を縫っても良いかと聞いております。死にたいですか?
ーあ…ぁ、そうでしたね…おねがいします…。はははっ!
やはりマリファナ…。大昔からある、麻沸散にも若干入っていると言われている、大麻草である…。ほんの少しであれば、麻酔に使ったりもするのだが、この使い方は明らかにマリファナと同じだ。
ウンスは、店主の傷をわざと痛みを強く感じるように、深く乱暴に縫ってやったのだが、全く痛みを感じて居ないようである。
3人とも驚いて居た…。
ー今のうちに、テマン君は妓楼の中を隅々まで捜索して。ジフ君が見た男のように、どこかの部屋で大麻をお客に吸わせて居るのかもしれない…。大麻ってね、依存性が強くて、自分の意思ではやめられないのよ…。依存症って言う病気になるの。
そうするとね、いくら高かろうと大麻を買わざるを得ないの…。わかる?お金儲けのために、病人を作っているのよ。許せないわ!こいつ!グルグル巻きにして…
あっ…でもね、映画だと大体もっと悪い奴が出てくるのよね…大物ってやつ。このおじさん…ちょっと泳がせてみよっか?ふふふ!
ー…医仙様…。大丈夫なのですか?
この男には後ろ盾がおると?
ーえぇ、そう思うわ。
ー医仙様に何かあれば、俺たちが大護軍に殺されます~~!
ーふふ、殺されたくなきゃ、しっかり私を守ってよ!トクマンくん!
さっ!次の作戦よ!
ミッションインポッシブルから、水戸黄門になって来たような気がするのは、私だけでしょうか


にほんブログ村