見合いばなしを10も持って来るなんて!俺だってそろそろ身を固めたいさ!
でも、大護軍と医仙様を見ていると、見合いなんかじゃなくて、恋い慕う相手と一緒になりたいんだ。医仙様のような女子は居らぬかな…
そんな事を考えて、上の空で馬に乗っていたトクマンでしたが…
ー!おっと!お前、危ないじゃないか!死ぬ気か!?
トクマンが、もう少し手綱を引くのが遅ければ、馬に踏まれて居るところであった。
その男は、ばたりとその場に倒れてしまう。
トクマンは急いで馬からおり、男の様子を確認する。
ーおい!大丈夫か?おい!起きろ!
とても身体の線が細く、手を掴むと折れそうに細い…。顔を上げて見てみると、泥で汚れておるが、かなり青ざめているようだ。
トクマンは仕方なく、その男を抱え上げ、馬に乗せ、自分も後ろに乗り片手で支え落ちぬように気をつける。なんだろう…妙に柔らかいが…。
ん…?辺りが騒がしいな。
ーおい!早く探せ!逃げられたら、俺たちがどんな目に合うか…!
ーはっ!!
トクマンは知らぬ振りをしてやり過ごす。
この男…追われておるようだ。医仙様の所へ連れて行っても大丈夫だろうか…。しかし意識もないし、俺のせいかもしれぬし…。こんなに細い奴だ。俺に勝てぬであろう。医仙様にもお逢いしたいし、こやつを口実に使うか…。
大護軍の家へ行くと、今日は大護軍も休みで家におるようだ…。
………はぁ~…なぜだ?いつも忙しい大護軍が…。俺の人生は、いつも思ったようには行かぬのだな…。何かすればまた蹴り飛ばされる…。
ー医仙様にお願いが。
ーなんだ?そいつは誰だ?
馬から降りたトクマンが、男を肩に担ぎやって来たのだ。
ーそれが…
と、先程までの話をする。
ー追われておったのか?こいつが?
ーはい、大護軍…。しかも意識もなく置いて行くわけにも行かず、医仙様に診て頂こうかと思い参じました。
ーそこに、寝せておけ。イムジャを呼んで参る。
ーありがとうございます。
すぐに医仙様と大護軍がやってきた。
ートクマンくん、何やら拾い者したって?
この人?どれどれ…
と、医仙様が脈を診る。
何やら、ん~~?と首を傾げておる。
医仙様はいきなり、この男の胸の合わせを開きだし、大護軍に何をしておるんですか!と怒られておる。
ー痛いわよ!チェ・ヨン!違うの。ちょっと見て…。この人…。

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