ウンスは身体の力が抜けて行くのを感じたが、トクマンの出血をとめなければいけない…
ーマンボさん!私の道具箱を出して!早く!
チェ・ヨンはトクマンの容態とウンスを一瞬にして確認する。
トクマンの出血なのか、ウンスの出血なのか判断出来ぬほど、二人とも真っ赤な血で染まっていた。
チェ・ヨンは、心が煮え立つように怒り震える。
手に雷攻をため、そいつ目掛けて放つ!
そこにあったはずの家がなくなった。しかしその男はそれをよけ、隣で笑っていた。
ー雷攻の使い手、チェ・ヨンも噂だけであるか!対したことはないな!
そう言って風攻をチェ・ヨンに放つ!
チェ・ヨンは、避けたつもりが足に当たる。
こいつ…許さぬ!
チェ・ヨンは慌てず、狙いを定め雷攻を放つ!今度は、こやつだけに当たる!
倒れたところを、鎖で縛り3重の鍵をかけるよう徹底させる。
チェ・ヨンが慌ててウンスに近寄る。
ーイムジャ…大丈夫ですか?お怪我は?
ートクマンくんが…私を守ってくれて…私はどこも怪我などしてないわ!
手伝って!早く手術しないと!今、動脈をクランプで止めたから!トクマンくんを、どこかに運んでオペしないと!
ーわかりました!おいっ!トクマンを中へ!
マンボの家へトクマンを、運びを入れ、チェ・ヨンが手伝いオペをする。首の動脈を、つなぎ合わせなければいけない。
怪我などしていないと、言っていたウンスだったが、右腕が切れ血が流れていた。
ーイムジャ、先にイムジャの、血を止めなければ…。
ー私なら大丈夫よ。後でいいから。チェ・ヨンここを持ってて。
ー…はい。
いつもの冷静な医者としての、ウンスになる。細い血管を絹糸で縛って行く。
ー縛って、カット…縛って、カット…
縛って、カット…。
ーはぁ~…。
ーイムジャ、トクマンは?
ー命は取り留めたと思うわ…脈はしっかりと強く打っているもの。ただ、かなりの出血があったから、いつ気がつくか…。
ーイムジャ、手を…。
チェ・ヨンがウンスの手に包帯を巻く。
ーありがとう、チェ・ヨン。たいしたことはないから大丈夫よ。トクマンくんが身体を張って守ってくれたの…。私のせいで…。
チェ・ヨンはトクマンの血で髪の先から染まっているウンスを抱き寄せ…
ー大丈夫です、こいつはそんなにヤワな奴ではありませんから…。すぐに目を覚まします。服を持って来させました。風呂に入り、これに着替えて。トクマンは誰かに見させておきますから。
首を降るウンス。
ーううん…私が…。
と、言うウンスを抱き上げマンボの家の風呂に入り、服を脱がせる。
ーさぁ…イムジャ…。
ー私のせいでトクマンくんが…。私があいつに詰め寄ったりしなければ…。
ーイムジャ、トクマンは大丈夫ですから。きっと意識が戻ります。さぁ、髪を洗いますから…。
風呂から出ると、ウンスはすぐにトクマンの所へ行く。
ートクマンくん…。目を覚まして。トクマンくん…。
手を握るウンス。するとトクマンの指が少し動く。
ートクマンくん!こっちよ!戻って!トクマンくん!?
ートクマン!おい!大丈夫か?
チェ・ヨンも呼び掛ける。
すると、トクマンはかなりの出血だったため、青ざめた顔はしていたが、意識は戻りゆっくりと瞼を開く。
ートクマンくん!大丈夫?
ーい…医仙様…お怪我は…
ー私なら大丈夫よ!あなたのお陰で!
そう言ってウンスは、トクマンに抱きつく。チェ・ヨンは、ウンスの首根っこを引こうとしたが……な、なんと!堪えた!
こめかみと指がヒクヒクしていたが、トクマンが居なければ、ウンスが大怪我をしていたかもしれぬ。ウンスが怪我をすると、治せる者が居ないと言うことだ。
こいつはイムジャの命の恩人だと、自分に何度も言い聞かせるチェ・ヨンであった。
ー本当にごめんね。トクマンくん…
ー俺なら…大丈夫…ですから…。
医仙様…良い匂いが…します…ね。
あ~~しっ!やっぱり我慢出来ず、ウンスを引き離すチェ・ヨン…。
ートクマン、大丈夫か?すまなかったな。ありがとう。
ー大護軍…。いえ…。礼など。お守り出来て…良かったです…。こう、抱き上げると…医仙様は…よい…かお…
ドンッ!とチェ・ヨンが寝台を下から蹴り上げる…。
ーチェ・ヨン!もう何するの?!大丈夫?トクマンくん?
ーははは…。いてて…。大丈夫です…。
ーイムジャ、トクマンも大丈夫のようなので、家に戻りますよ。チュホンでお送りしますので早くこちらへ。
ーわかったわ。トクマンくん、本当にありがとう。
そう言って、ウンスはトクマンの頬にキスをした。
チェ・ヨンが止めようとしたが、時すでに遅し…。グッと堪えるチェ・ヨン。
ーーーその後、可哀想なトクマンは、怪我が完治し任務に戻ると、鍛え直すとチェ・ヨンに言われ、毎日ヘロヘロになるまで付き合わされたそうな…
……ウンスの命の恩人なのにね…ファイティン!トクマン!
捕まえた男と、その主人の金貸は、国に金を全て取り立てられ、死罪になったそうな…。やはりチェ・ヨンをウンス絡みで怒らせちゃあ、いけません…。くわばらくわばら……
終わり

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