そういえば、今日テマンくん見てないけど、どうしたのかしら?
あっ!トクマンくん見つけた!
ートクマンくん、今日テマンくんどうしたの?
ー今日は、大護軍と一緒です。なんですか?
ー町に出掛けたいんだけど、誰か一緒に行ってくれないと行けないから…
チェ・ヨンは、今だにウンスに護衛付きの外出しか許して居ない。これも高麗のため故と言われ、仕方なく従って居るウンスである。
ー私なら、今日は休みなのでお付き合い出来ますが。道場の方は、もう子供達は帰しましたので。
ーほんと?助かっちゃうわ。ありがとう。
ちょっと待ってね。今、準備してくるから。
2人が町へ着くと、あちこちからウンスに声がかかる。
ー医仙様、この間はありがとうございました。すっかり良くなりましたよ。
ーそう!良かったわ。でもまだ、この薬を飲んでね。わかった?
ーはい…いつもありがとうございます…。金も払えぬのに…。
ーお金なんて良いのよ!チェ・ヨンがいっぱい稼いでるから気にしないで。それより、みんな我慢しないことよ。早めに言ってくれたら、早く治るの。わかった?
周りの町民は、ウンスを拝むようにしている。
ー医仙様…いつもこのような事を?
ーえぇ、ボランティアでね。
ーぼら?
ーあぁ、無料でね。町の人達は病気になったり、怪我をしても病院に行けないの。お金が払えないから。それって不公平でしょ?
トクマンには天界後は難しかったが、何と無く理解できた。
ーさすが、医仙様ですね。
2人はマンボ兄妹の薬屋へやって来た。
ーこんにちは!また、来ちゃいました!今日は、高麗人参と冬虫夏草が欲しいんだけど…
ー医仙、あるよ!
ーふふふ、ありがとう。おいくらか…
ガタガタと何かが倒れる音がする。
おい!こらぁ!ふざけやがって!と声が聞こえる。
そちらを見ると、子供を抱えた女の人が、子を守りながら怯えていた。
ーちょっと、あんたたち!女、子供に手をあげるなんて男の風上にもおけないわね!
やめなさい!
ー医仙様…何かあれば私が怒られますから…ここはおとなしく…
ー出来るわけないでしょ?あったまに来たわ!
ーお前、何者だ?
男達の中で一際目立つ男が、ウンスに声をかける。目は鋭く、今にも襲いかかって来そうな冷ややかな雰囲気を持っている男だ。
ー私は医者よ!もう、やめなさいよ。
ーお前には関係なかろう。こいつの亭主は、金を借り逃げている。俺の雇い主が、こいつの娘を連れて来いと言っているんだ。どけ…。
ーどけません!
それを見ていたマンボ兄妹は、チェ・ヨンにここへ今すぐ来るよう、スリバンの仲間に連絡させる。
ーまぁまぁ、旦那さん。ここは一つ…
バシッ!
マンボさんが殴られてしまった。
ーちょっとあなた!何するのよ!
バシっ!
ウンスも殴られた。
これにはトクマンが怒り、剣を抜く。
ーおぬし、この方を誰と思うておるのだ!
斬り捨てるぞ!
ーやれるものならやってみるが良い…
トクマンが斬りかかると、何も持っておらぬその者の手から何か出た気がする。
ーくっー!?
トクマンの頬が切れて血が出ていた。
こやつ…侮れぬ。
トクマンが斬りかかるたび、その男の手から出る何かに、当たってしまう。
腕は薄く傷だらけになっている。
おかしい…こいつは…
ートクマンくん、血が!大丈夫?
ー医仙様!逃げて下さい!
ー医仙だと?ではこの女がチェ・ヨンの妻か…。ふっ!良い者を土産に出来そうだ。
その男が、ウンスを掴もうとしたその時、トクマンがウンスを抱き抱え、走って逃げる!
ート 、 トクマンくん、大丈夫なの?
ー医仙様、すみません。私ではかないませぬ。奴はおそらく風攻の使い手…。
かまいたちの様な物ですが…。かなり危険です。大護軍に、うっ!
ートクマンくん!大丈夫?
その男が右に左に手を払い、風を操って居るように、確かに思える。
ーあっー!くそ!医仙様、俺に掴まって下さい!でも腕は、俺の身体の中に隠して。
医仙様に怪我などさせたら、大護軍に殺されますから。くっ…
ートクマンくん!
トクマンの背中は、すでに血だらけだった…。
ーお願いよ!もうやめて!トクマンくん、私を下ろして!もう良いから。ね?
トクマンは、ウンスを抱きかかえ、一歩一歩進んでいく。
男が苛立ったように、両手を広げトクマンに向け押し出す…
トクマンが倒れ、おびただしい出血が…
ートクマンくん、どいて!私に診させて!
トクマンは、ウンスに覆いかぶさっていたのだ。ウンスには一筋の血も流させぬように…。
ートクマンくん!だめ!だめよ!動脈が…。マンボさん!そこのカバンをとって!早く!
ーおい。女を連れて行け。
その男がそう言った時、何かに弾かれたっ!
続く( *・ω・)*_ _))ペコリン

にほんブログ村