ーくうっ!
イ イムジャ、ご無事ですか?
チェ・ヨンは不意をつかれたので、受け身が取れず、ウンスを守るのが精一杯だった。
ーチェ・ヨン大丈夫?私は平気よ!
あなたのお陰で…ごめんね、私が重いから怪我したんじゃない?ちょっと見せて…
ウンスはチェ・ヨンを抱き起こし、自分にもたれかからせる。いつもとは逆だ。
ここは?じゃあここは?頭は打ってない?
ー大丈夫そうです。腰もそれほどひどくないようで。息も普通に出来るようになりました。
ーはぁ~良かった。骨には異常なさそうね。ホッとしたわ。それにしてもチュホンはどうしたのかしら?
ーはい、初めての事です…どうしたのか…
チュホンは、まだ暴れている。
良く見ると、お尻に氷の矢じりの様な物が刺さっている…
2人で顔を見合わせ…後ろを振り向くと…
ーキ・チョル!
ーキ・チョル⁈
二人の方に向かいゆっくりと歩いてきた。
ー天門が開きました…
キ・チョルは恐ろしく静かではあるが、深く暗い怒りの気を放っていた。どうしたと言うのだろう…
ーそのようね。計算があっていたみたい。
キ・チョルさん、どうして天門をくぐって私の世界に行っていないの?あっ!それから、私もチェ・ヨンも天門はくぐらないわ!行きたければ一人でどうぞ!私はチェ・ヨンのそばに残ると決めたの。何度攫われても答えは同じよ!わかった!
この人には強気でいかなくちゃ…
ウンスの震える手をチェ・ヨンが後ろ手に握りしめ彼女を後ろに庇い、牽制する。この気は…⁈
ー教えて下さい。どうすれば天門をくぐれるのですか?
ーただ光の中に入るだけでしょ?
ー最後まで私を騙すのですか?
私の心からの願いをこんなに残酷に…
ー私だって無理矢理連れて来られた1回しか天門をくぐってないの!ルールなんて知らないわ!
ー隠れていて下さい!
と、チェ・ヨンが言う。キ・チョルの怒りの気が伝わってくる…
ー答えろ~~!!
ついにキ・チョルの怒りが爆発した。
ー諦めろ!お前のような不埒なものを、天はお認めにならぬのだろう。来るなと言うことだ。ここでお前の命は終わりにする。
二度とイムジャに手を出させぬために…
ー私にはもうこの世しかないのか?死んだら終わりか?続きはないのか?
ーあぁ…人は誰しも死んだら終わりだ!
チェ・ヨンは鬼剣を抜き、キ・チョルに斬りかかるっ!
キ・チョルはその太刀をよけ、ウンスの元へ走る!
ー待て!そんなことは絶対許さん!キ・チョル!お前の相手は俺だ!
チェ・ヨンはキ・チョルに向かって鬼剣を投げた!
鬼剣はキ・チョルの腹に深々と刺さり、息も絶え絶えだ。チェ・ヨンはキ・チョルの前へ回り込み、両手を掴み雷攻を放ち、とどめを刺そうとした!
ーフハハハハ!チェ・ヨンよ!我とともに行こう!道連れだ!お前だけこの世で幸せにはさせん!この先の世界へ一緒に行こうではないか!はははは!お前の行きたがっていた黄泉の世界だ!お前を、待っておる者も多かろう!ははははっ!
逆に氷攻でチェ・ヨンは攻撃されてしまった!
どこに、こんな力が残って…
身体が動かぬ…
キ・チョルは、ヤンサの薬を飲んで居たため、いつもの何倍もの力が出ていたのだ…
チェ・ヨンは、振り払う事が出来なかった…指先からだんだん凍りついてきて…
イムジャ…イムジャは大丈夫だろうか?後ろを振り向く事も出来ぬ…
俺はキ・チョルの力に勝てぬのか…
父上…ウンス…
チェ・ヨ~~~ン

グスンっ


