チェ・ヨンは慶昌君様を抱きかかえる。
なぜこんなことに?
ー慶昌君様…
ー徳成府院君が教えてくれたのだ…はぁ…はぁ…お前を助ける方法を…はぁ…
慶昌君様は痛みで生きも絶え絶えだ。
なんと!?
ーキ・チョル!?来ていたのですか?あの者のせいで…
あの者生かしておかぬ!
ー…知らなかったみたいだよ…はぁ…
ーそいつが毒を慶昌君様に飲ませたのですか?
ーどうせ我は長生き出来ないのを…
知らなかったみたいだよ…はぁ…
この毒をヨンに飲ませろと言ったんだ…
でも、はぁ…愚かだな…つまらぬ浅知恵だ…
キ・チョル!この幼いお方に何を!?
許さぬ!チェ・ヨンの身体は怒りと哀しみで打ち震えていた…
ーそれで慶昌君様が代わりに飲んだのですか?
なんの価値もない俺などのために!
ーはぁ…はぁ…ぐほっ!
ー痛いですか?
慶昌君様…
ー我も行けるであろうか…ぐほぉ!
あそこ…はぁ…天の国へ…
チェ・ヨンは涙をこらえるのが精一杯だった…変われるものなら変わって差し上げたい…
俺はなぜあの時…ちょっと立ち寄っておれば…くぅ!俺が殺してしまった…
ーもちろんです…
ー天のことはなしてくれないか…
もうすぐ我は天へ旅立つ…はぁ…その場所を思い描きながら逝きたいのだ…本当にその場所に行ける気がするから…
ー馬のない馬車たちがすいすい走ります。
チェ・ヨンは慶昌君様を強く抱きしめ耳元で囁くように話した。
ー広い道端がそんな馬車でいっぱいです。
辺り一面光が溢れんばかりです。
夜空にも明るい光がいっぱいで…
涙が溢れる…
ーい…痛い…ヨン…
ーゆえに行かれたら夜中でも道に迷うことはないでしょう…
ーす すごく痛い…
チェ・ヨンの頬を涙が伝う…
慶昌君様をギュッと抱き締め、一度引き離し、最後に顔を見ながらこう告げた…
ーこれ以上痛くないようにして差し上げます…そうしてもよろしいですか?
くぅ…お楽に…して差し上げ…ます…
お許し…を…
ー頼む。そうして…はぁ…痛すぎるよ…
ヨン…最後にお前に辛いことを頼み申し訳ないな…我を許せ…ヨンや…
すまぬ…お前は生きるのだぞ?
…チェ・ヨンは腰の小刀を抜き、慶昌君様を抱き締め、背中から心臓をひと刺しにする…
慶昌君様が息を引き取るまでずっと抱き締めていた…
ーくっ!!
はぁはぁ…慶昌君様…俺のせいで…俺がここに来たせいで…あの時確認を怠ったせいで…涙が溢れる…
自分も小刀で一緒に貫いてしまいたかった…
力の抜けた慶昌君様を布団に横たえる…
ーはぁ…はぁ…
ガチャリと後ろの扉が開く。ウンスが水を持って戻ってきたようだ。
チェ・ヨン慌てて涙を拭い、唇を噛み締めこれ以上溢れてこないよう耐える。
そうだ…俺にはまだやるべきことがある。
この方をお守りせねばならぬ。そして、必ずや、慶昌君様の仇を討ちます!
キ・チョル!覚えておれ!
急いで部屋に飛び込んできたウンスの目に映ったものは…布団に横たわり腹から血を流している慶昌君様…そして傍にいるチェ・ヨンの、おびただしい血に濡れた右手…握られた小刀…
手の力が抜け、いつの間にかバケツが落ち辺りは水浸しだった…
ま まさか、サイコが刺したの!?
親しかった前の王様を?こんな子供を刺したというの?まだ何か手立てがあったかもしれないのに?
…この人はやっぱりサイコなの?
しばらく一緒にいて、気になり出して忘れていたわ…
ーあ あなたが殺したの? あなたが?
ーこの家の主が裏切ったようです。
すぐに発ちます。
チェ・ヨンは動揺している自分を隠そうと技と素っ気なく話す。
お願いです…いまは私に従って下さい…
ー待っていて下さい。外の様子をみてきます。
チェ・ヨンがウンスの横を通り過ぎようとした時、ウンスは後ずさった…
どうしてなの??もうあなたがわからない…ただの人殺しなの?あんなに仲が良かったのに殺してしまうなんて…安楽死をさせたのはわかる…けど…
そして後ろを振り向き部屋から出て行こうとして、チェ・ヨンに腕を掴まれ抱きしめられた。血の匂いがする…慶昌君様の…
ウンスの目は慶昌君様を悲しげに見つめている…
ー私の言う通りにしろ、私のそばに居ろ、離れては守れないと何度言ったらわかるのですか?
またこの香りだ…
私がそばにいてもらいたいのです…私が…イムジャ…お願いです…そんな顔をしないで下さい…俺の、俺のそばにいて下さい…
ー触らないで!そんな汚い手で触らないで!
チェ・ヨンを突き飛ばしながら言った。
ここは、私のいるべき世界じゃない…
どこでもいい…早く逃げなきゃ…
怖い…この人声が震えてる…?
でも…でも…
ー行くなって!…頼むから…
ただその香りの…イムジャの…そばにいたいだけなのに…あなたを守る事だけが今の俺の生きる意味なんだ…
ウンスは部屋の出て行った…
チェ・ヨンも無言で後を追う。
ここは危険です…お待ちください。キ・チョルが来て居るのです。行かないで…近くにおらねば守れませぬ…イムジャまでこの手から居なくなってしまったら…俺はなんのために…
また死んだように生きて行かねばならぬのですか?
ウンスは回廊を小走りに走った。追いかけて来て居るのはわかっていたが、今は話したくなかった。
お願い…少し時間をちょうだい…
ーあっ!?
ウンスは回廊から転げ落ちた…
今日は長男に子供が産まれる予定です

逆子のため、帝王切開になっちゃいました
今日の9時からオペです

母子共に何事もありませんように

ウフフ…40台でお婆ちゃんです

なんかくすぐったい(笑)
では今日も一日ファイティン


にほんブログ村

