天門さえしまってしまえば戻ることもあるまい…イムジャと離れるなど、今の俺にはあり得ないことだ。望んで望んで…やっと手に入れたたった一つの宝…俺の生きる意味なのだから。
ーもうしばらく馬を休ませたら参りましょう。
チェ・ヨンは早く早くと気が急いてしまう。
ーもう行くの?あなたは寝なくて大丈夫?
私はだいぶ元気になったわ!お腹もいっぱいだし…
今度は私が守るからあなたは少し休んで?
ー以前寝てしまわれたではないですか?私は大丈夫です。3日程度寝なくても気が澄んでおれば…
もうチェ・ヨンたら大丈夫かしら?私を探して寝ていないはずなのに…
いつもありがとう…
ウンスはチェ・ヨンに人差し指でおいでおいで(チョイチョイ)した。
耳元で…
ーいつも守ってくれてありがとう…
ほんとに私を守るの、大変なのに…愛してるわチェ・ヨン…
チェ・ヨンは強く抱き締めた。
ー承知の上ですと、申したはずです。イムジャがそばに居てくれる事が俺の力になるのです。今回も、会いたい人達に会う最後の機会かも知れぬのに、私の為に行かぬと決めたのでしょう?お礼など、私が言わねばならぬ事です。それに…
…まだ話していない事がありますね?
でも、イムジャに聞いても言わぬのでしょう…ならば早くここを離れるまで。
眠るなどいつでも出来ま…
突然馬たちが鳴き、倒れた!
チェ・ヨンはあっと言う間にウンスを自分の後ろに庇い剣を抜く!
月が陰り辺りは真っ暗闇になる。
川の流れの音だけが聞こえる…
何事だ?なんの気配もないのに…
ーチェ・ヨンどうしたの?チュホンたちに何かあったのかしら?倒れてしまっているわ。行ってみるわね。
ーいけません!俺の後ろにおってください!少々危険かもしれませぬ。隠れて居てください。
ーうん…わかっ………
ウンスの意識が薄れてくる…
ーイムジャ!イムジャ!どーしたのですか?
うっ!?これは痺れ薬か…それとも以前チャン侍医の用いた眠くなる薬なのか…大抵の薬には耐えられるのだが…イムジャ…イムジャ…イム…
