消えた小さな命…6 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

徳成府院君キ・チョルと火手引、千音子、ク・ヤンガクは江華郡守アン・ソンオの屋敷に来ていた。
前を行くキ・チョルが火手引を鋭い調子で問い詰める。

「それで?」

「それでなくてもすばしっこいやつなのに、雨も降って来たし…夜の山奥だし…」

「それで…!?」

「逃がしちゃった…」

キ・チョルが立ち止まり、火手引は怒鳴られるのを覚悟していた。

「良くやった」

火手引はびっくりしていた。

「捕まえたらつまらない所だった」そう言って本当に嬉しそうにニヤッと笑った。
ー次はどうするか?慶昌君などどうでも良い。死のうが生きようが…
俺はあの二人が欲しい…こんなに心が泡立つ事は久しくなかった。あの二人は片方だけでは使い物にならぬ。二人揃えて宝となろう。。楽しみだ…ふふふっ

「それって本当に褒めてくれてるの?はぁ、兄者は全く何を考えて居るんだか」

千音子に愚痴を言う。

「なんて陰険なの?それに凶悪だしさ、あー!ムカつく!」


そこまで言った所で千音子に手拭きで口を塞がれた…



一方、ウンス達が雨宿りした小屋では…

「江華郡守がおっしゃいました。“迂達赤の隊長から事情を聴く、この目と耳で確かめ罠に嵌められたのか否か判断する。”と」

ー狩人は江華郡守の手の者であった。話しながら、弓や矢などを体から外しあちこちに引っ掛けていく。そして丸腰になった。他意はないと言いたいのだろうか…チェ・ヨンはこやつらの真意を計りかねていた。

「良かったですね。隊長。信じてくれる人がいて。」
ーあまり物事を深く考えない武人、チュソクは軽口でそう言った。
「罠であれば願ったりの話しだが、もし私が本当に反逆を計っているとしたら?」

「隊長…?」

「それでも連れて行くのか?」

「反逆者なら俺なんかに着いてきません。違いますか?」

ーどう判断すべきか…おそらく罠であろうが…

「またいつ痛み出すか…長く揺れるのは避けたいんだけど…」
ーウンスは慶昌君様が心配だ。腫瘍はかなりの大きさである。耳だけではなく、あちこち痛みがある筈だ。それなのにこんな歳で1人あんな…もの淋しい部屋に閉じ込められて…TVもゲームもないというのに…外へ出たからにはなるべく痛みを最小限に抑え、子供らしく笑っていてもらいたい…それが医者として今の私に出来るたった一つの事。

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「江華郡守と面識は?信用できますか?」チュソクが心配そうに聞いてきた。

「知らん。信用も出来んが頼るしかあるまい。いつまでも慶昌君を連れて逃げる訳にもいかん。」
ー俺1人ならどうにでもなるが、このお二人をお連れしてとなると…この島から出るのは無理であろう…罠かもしれぬが行くしかあるまい…

「他に身を寄せますか?」

「お前は戻れ。」

「隊長だけ残してですか?」

「王に申す言葉がある。」

チュソクは恐る恐る…
「王はご機嫌が悪く…これは副隊長の密命で参ったのです。俺が隊長のもとへ来たことを知ったら王は…」

ーやはり、キ・チョルの奴が動いたようだ。これで、俺を切るような王ならそれまでだ。どうせ宮を出るつもりでおったのだ。
「伝言ぐらいで殺しはせぬ。」

「本当に?」
チュソクは実際に王様を見ていただけに、恐ろしい…命令一つで命などすぐになくなる。

「自信はないが…」
ー某をどの程度信じているのか、これでわかる。

「隊長…」  脅かさないでください…

「お咎めなく生きながらえたら王の返事を知らせに戻れ。待ってるぞ。」

ーえ…本気っすか?
「はぁ…王が返事を下さいますか?隊長に?」

「言ったろ?俺も自信がない。」

「じゃぁ…」チュソクは某然とする。

「俺のせいで命を落とすかもしれん。ミアナダ(すまない)」
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ーあの王のことだ。迂達赤の命を奪うとは思えんが…

隊長にここまで言われたら覚悟を決めぬわけにはいかないチュソクであった。







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