こんにちは、私は、日本で犯罪被害者支援に携わっている臨床心理士です。

今回、Springの皆さんと一緒に、英国視察に行かせていただきました。

 

(中長期的被害者を対象に支援している、レイプクライシスセンター。

訪れたクライアントが、落ちつけたりエンパワメントされる本などがある)

 

イギリスで私が学んできたかったことは、被害者支援についてです。

特に、ワンストップセンターであるHavensやレイプクライシスセンターでは、

どのようにカウンセリングが導入されるのか、

またどのようなカウンセリング、心理面接が提供されているのかを学びたいと考えていました。

 

今回の視察で、Havensのカウンセラーおよびサイコセラピスト、

レイプクライシスセンターのカウンセラーとお会いすることができました。

(ワンストップセンター「The Havens」 実際の部屋でドクターから説明を受けている様子)

 

そこで学んだことは

・Havensでは、初回の来院から二週間後、検査結果のフィードバックの時に、必要に応じてカウンセリングを導入している

 

・イギリスでも、被害者はレイプ神話に苦しんでいる

 あなたが悪かったのではない、ということ、自責感の緩和について話し合うことが大切である

 

・NHSに所属しているサイコセラピスト(Havensのサイコセラピスト)が提供する心理療法は、

 英国国立医療技術評価機構(NICE)の発行するガイドラインに基づいている

 つまりエビデンスに基づいた介入が行われている

 

・被害直後の人はワンストップセンターで、被害から時間が経過している人はレイプクライシスセンターで、それぞれカウンセリングを受けることができる

 

・レイプクライシスセンターでは(もちろんHavensでも)「その人自身を中心においた」支援を大切にしている(parson-centeredという表現をされていましたが、ロジャース派の理論ではなく、言葉通りその人中心にということだそうです)

 

・カウンセリングでは、その人の文化や価値観を大切にした面接が行われる

 

などなど、たくさんのことがありました。

 

 

イギリスでは、被害直後の方も、被害から何十年と経過している人も、同じように支援を受けることができます。

日本でも、ワンストップ支援センターが整備されつつありますし、全都道府県に被害者支援センターもあります。

しかし、どこでも等しく同じように、被害からの時間経過に関わらずカウンセリングなどの心理支援を受けられるかというと、難しいということが現状です。

センターの運営資金も、専門家の数も、まだまだ十分ではありません。

 

(ワンストップセンター「the havens」は、大きな病院の一角にある)

 

また、イギリスでは、被害に遭った場合に周りの人たちが当たり前のように「レイプクライシスセンター」や「ワンストップセンター」に行くことを勧めてくれるそうです。

性暴力の被害に遭った場合に相談できる機関がある、ということを知っている人が多いのだと感じました。

 

当然のことながら、イギリスと日本では、風土も文化も人々も、支援に関わる保健医療制度も異なります。

従って、イギリスのシステムをそのまま導入することはできませんし、それが良いこととも思いません。

しかし参考にすべき点はたくさんあります。

 

日本でも、被害からの時間経過に関わらず必要な支援が受けられる、適切なカウンセリングが受けられるようになるにはどうしたらよいのか。

性暴力の被害に遭った場合に相談できる機関があることを、みんなが当たり前に知っている社会にするにはどうしたらよいのか。

視察で学んだことを参考にしながら、考え続けていきたいと思います。

 

(ワンストップセンターthe havens関係者の皆様と、

2時間以上にわたる熱心な意見交換をさせていただきました!)

 

最後に。

イギリスも、最初から今のような社会だったわけではなく、レイプクライシスセンターの方々や被害者支援に関わる方々が、

根気強く社会に働きかけていったために今があるのだと、お話をうかがっていて感じました。

 

そしてみなさん、「まだまだ課題があるから働きかけ続けていく」と仰っていました。

社会は一朝一夕では変わりませんが、

それぞれの機関、それぞれの人が、働きかけを続けていくことで着実に変化していくのだと学ぶことができ、とても勇気づけられました。

 

 

*   *   *   *   *

 

Spring視察報告会

「イギリスに学んだ性暴力被害者中心の司法と支援」

日時…2018年10月14日(日) 13:45~16:30(開場13:20)

場所…お茶の水女子大学 共通講義棟2号館 101教室

    東京都文京区大塚2-1-1 http://www.ocha.ac.jp/access/index.html

          ※当日は、護国寺駅寄りの南門が閉門しています。

          茗荷谷駅寄りの正門をご利用ください。

参加費…500円(英国視察報告冊子代)

お申し込み方法…下記のリンク内「チケットを申し込む」からお手続きください。

申し込み完了後、通知メールが届きます。

https://spring181014.peatix.com

 

【後援】外務省  / 駐日英国大使館

 

「性暴力の現状を何とかしたい」「英国の制度を知りたい」「Springの活動に関心がある」

みなさんのお越しをお待ちしております!

イベント詳細は、こちら

 

*本視察は、「大和日英基金」様からの助成、及び、

「Springを支える在英日本人の会」ボランティアの皆様のご協力で実現しました。

*本イベントは、「平成30年ボランティア・市民活動支援総合基金「ゆめ応援ファンド」 東京ボランティア・市民活動センター」様からの助成により開催されます。

 

*「英国視察」に関する記事はこちらから、一気読み頂けます^^

*チラシダウンロードはこちらから!ご自由にお使いください。

 

▼本件に関するお問い合わせ先:一般社団法人Springイベントチーム

event@spring-voice.org

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性被害を司法に届け出ても、よくあることで捜査や裁判は難しいことと言われてしまう現状があります。

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