50年と少し前の京都で
あるお宅の犬が口に何かをくわえて
帰って来ました
それは誰かが落とした、電車の定期券
昔の定期券には、持ち主の住所が
記載されていたものです
犬のご主人は、その住所を訪ね
「うちの犬が拾ってきました」
と、届けてあげました
さて、その定期券は誰のもの?
…若かりし頃の、私の父のもの
その日帰宅した父は、
下宿のおばさんから定期券を
受け取ります
定期券を既に諦めていた父は喜んで
「おばさん、その人の名前と住所
聞いといてくれた?」
…おばさん、聞いてなかったそうな
それでも父は、菓子折りを買って
近所で犬を飼っているお宅を
探したそうです
結局見つからなかったとのことでが、
何度聞いても聞き飽きない話です
定期券を得意気にくわえ
足取り軽やかに弾んで歩く犬の姿を
想像して楽しくなってしまうのです
あるお宅の犬が口に何かをくわえて
帰って来ました

それは誰かが落とした、電車の定期券
昔の定期券には、持ち主の住所が
記載されていたものです
犬のご主人は、その住所を訪ね
「うちの犬が拾ってきました」
と、届けてあげました
さて、その定期券は誰のもの?
…若かりし頃の、私の父のもの
その日帰宅した父は、
下宿のおばさんから定期券を
受け取ります
定期券を既に諦めていた父は喜んで
「おばさん、その人の名前と住所
聞いといてくれた?」
…おばさん、聞いてなかったそうな

それでも父は、菓子折りを買って
近所で犬を飼っているお宅を
探したそうです

結局見つからなかったとのことでが、
何度聞いても聞き飽きない話です

定期券を得意気にくわえ
足取り軽やかに弾んで歩く犬の姿を
想像して楽しくなってしまうのです
