今から50年前
私の父が東京で理容室を経営していた頃
当時の従業員さん二人と書き綴っていた「営業日誌」が
今も、残っています。
私は、それを時々読み返し自分の胸に刻み込んでいることがあります。
 
昭和41年、父29歳、私2歳の年の日誌です。
 
 
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「4月21日 日曜日 

 

組合の総会を明日にひかえ、今迄落ち着かない何となく忙しい日が続いた。

組合の仕事も、損得を考えたら

何一つ出来るものではない。

しかし、信用というものは金ではかえない。

信用を売ろうとしても、だれも買ってくれるものではない。

他人が認めてくれなければ信用にならない。

そのような意味からも、責任をもたされる、又

無くてはならない人間になることが大切」

 

 

「1月28日 日曜日

 

1月も終わろうとしているが、今週中に夜の時間をとってミーティングを行いたいと思う。

それぞれ、考えをまとめておいてほしい。

お互いに目的、目標があり、又、現在がある。

現在を冷静に見つめ、行動することによって目的に達することができる。

自分ひとりの考え方によってすべてが動くわけではない」

 

 

「2月18日 日曜日

 

仕事終了後、◯◯さんと雑談をした。

酒が入っての場ではあったが、人間関係というものがいかに重要であるかということを

痛感した。

職場においても、年齢、立場等各々違っていても協調性に乏しくては

円滑に進むものではない。

親しき仲にも礼儀あり、という言葉もある。

日本の日本人らしい姿は尊いもの。

これから先も受け継がれて行くであろう。

そう、望む」

 

 

「3月31日 日曜日

 

3月最後の日曜日、忙しい一日であった。

世の中がスピード化されてきている。

この社会において、我々理容業も、能率ということを考えなければならない。

しかし、安床とは全く違うもの。

各自が、自分の果たす役割を考えてほしい。

一人ひとりの成長が、店の成長につながる事。

いずれ、自分の店を持ったときの下地になるよう望んでいる。

毎日の努力を怠らないようにしようではないか」

 

 

「4月4日 木曜日

 

今日は少し汗ばむくらい。花もこれからが見頃。

桜の時期は比較的、天気が崩れやすいものである。

体調管理を心がけたいものだ。

桜も、きれいに咲きそろっても、命は短い。

人間も、一時的に花を咲かせるより

地味に長く成長を続けたほうが良い。

世間より認められるようになるまでは時間がかかる。

表ばかり作っても、本物でなければ必ずメッキははがれるものだ」

 

 

ほんの一部ですが

私にとっては宝物。

 

50歳を過ぎた今でも、当時29歳の父親に追いつくことはできないけれど

でも、それでいいのです。

それがいいのです。