2026年10月19日、アルバータ州でレファレンダム(住民投票)が行われます。


今回の投票用紙には、10の質問があり、それぞれに支持不支持を答えていきます。


ニュースでは「アルバータ州のカナダからの独立」が大きく取り上げられているけれど、実際にはそれだけではなくて、移民政策、社会保障、選挙の投票資格、州政府と連邦政府の権限など、カナダという国の仕組みに関わる問題が並んでいます。


せっかくなので、後から振り返られるように、今回の10の質問を自分用の備忘録としてまとめておこうと思う。


今回の10の質問


1. 移民政策をアルバータ州がより強く管理することに賛成か?


移民の数を持続可能な水準に抑え、経済に貢献できる移民を優先し、アルバータ州の住民が新しい雇用機会を優先的に得られるようにする。


要するに、移民の受け入れを連邦政府任せにせず、州がもっと主導権を持つべきか、という質問。


考えておきたいこと: 移民の受け入れ人数と、医療・教育・住宅などの受け入れ態勢をどう両立させるのか。


2. 州が資金を出す公共サービスの利用資格を制限することに賛成か?


カナダ市民、永住者、そしてアルバータ州が承認する移民資格を持つ人だけを、医療、教育、その他の州の公的サービスの対象とする法律を導入する。


考えておきたいこと: 公共サービスの財政負担を抑えることと、カナダで暮らし、働いている人々へのサービスをどう考えるか。


3. 一時的な在留資格を持つ人に、社会的支援を受けるための12か月の居住要件を設けることに賛成か?


カナダ市民と永住者の資格は現状のまま維持したうえで、永住者ではない合法的な在留資格を持つ人には、州の社会的支援を受ける前に、アルバータ州に少なくとも12か月居住することを求める。


考えておきたいこと: 州に移り住んだばかりの人への支援を、どこまで認めるべきなのか。


4. 一時的な在留資格を持つ人に、医療や教育の利用料を求めることに賛成か?


カナダ市民と永住者の資格は現状のまま維持し、一時的な在留資格を持つ人とその家族には、医療や教育を利用するための合理的な料金または保険料を課す。


考えておきたいこと: 公共サービスの費用を誰が負担するのか。また、子どもの教育や必要な医療へのアクセスに、どのような影響が出るのか。


5. 州の選挙で投票する際、カナダ市民であることの証明を義務づけることに賛成か?


パスポート、出生証明書、市民権証明書などを提示して、市民権を証明することを求める。


考えておきたいこと: 選挙の公正さを確保することと、投票の手続きを複雑にしないことをどう両立させるか。


6. 州の裁判所の判事を、連邦政府ではなく州政府が選ぶ仕組みに変えることに賛成か?


アルバータ州が他の協力する州と連携し、州の上級裁判所などの判事の任命方法を変更するため、カナダ憲法の改正を目指す。


考えておきたいこと: 州の自治を強めることと、司法の独立性をどう守るか。


7. 選挙で選ばれていない連邦上院(Senate)を廃止することに賛成か?


アルバータ州が他の州と協力し、連邦上院を廃止するために憲法改正を目指す。


考えておきたいこと: 上院は本当に必要なのか。それとも、現在の制度を維持する理由があるのか。


8. 州の権限に関わる連邦政府のプログラムから、州が資金を失わずに離脱できるようにすることに賛成か?


医療、教育、社会サービスなど、州の管轄に関わる連邦政府のプログラムについて、州が参加しない選択をしても、本来の資金を州独自のプログラムに使えるようにするため、憲法改正を目指す。


考えておきたいこと: 州が独自の政策を実施できる自由と、全国で一定水準のサービスを維持することのバランス。


9. 州法と連邦法が衝突した場合、州法を優先できるようにすることに賛成か?


州の権限、または州と連邦の共有する権限に関する分野で、州法と連邦法が矛盾した場合に州法を優先させるため、憲法改正を目指す。


考えておきたいこと: 州の自治を強めることは、カナダ全体の法律や制度にどのような影響を与えるのか。


10. アルバータ州はカナダの一州として残るべきか。それとも独立の是非を問う拘束力のある住民投票に向けて、法的手続きを開始すべきか?


今回、最も注目されている質問。


選択肢は2つ。


  • 選択肢1: アルバータ州はカナダの一州として残る。
  • 選択肢2: カナダからの分離独立の是非を問う、将来の拘束力のある住民投票に向けて、州政府が憲法上必要な法的手続きを開始する。


ここで注意したいのは、選択肢2を選んだからといって、アルバータ州が直ちに独立するわけではないこと。


あくまでも、独立するかどうかを正式に問う次の段階に進むための手続きを始めるか、という質問である。


考えておきたいこと: アルバータ州がカナダから独立した場合、経済、税金、医療、社会保障、先住民との条約などにどのような影響が出るのか。独立を求める理由だけでなく、独立後に何が変わるのかも考える必要がある。


10の質問を並べてみて


こうして改めて見ると、今回のレファレンダムは、独立だけを問うものではないのがわかります。


全ての質問は一見別々の問題に見えるけれど、共通しているのは、アルバータ州が自分たちのことをどこまで自分たちで決められるべきなのか、という問いなのでしょう。


ただし、州の権限を強めれば、すべての問題が解決するわけでもありません。


どのような制度に変えるのか、財源をどう確保するのか、変更によって誰が影響を受けるのか。そこまで考える必要があるわけですが、そこは投票結果を踏まえての課題何でしょう。


今回の投票結果が、実際にどのような政策や憲法改正につながるのかは、まだ分りません。


さて、ブログは全体公開なので、ここでは忘備録として質問を並べるにとどめておく事にします。


さて、アルバータ州の未来はどうなるのでしょうか。

⸻


参考資料

  • Elections Alberta, “Referendum” — 10項目の公式質問、投票方式、結果の法的拘束力について。2026年10月19日確認。https://www.elections.ab.ca/el
  • The Canadian Press / CityNews Calgary, “Separation, immigration, the Constitution: A look at Alberta’s referendum questions” — 各質問の背景と論点。2026年10月16日掲載。


※この記事は質問内容を日本語で整理したもので、各政策への賛否を示すものではありません。