新年を迎える前にハーバード・ビジネス・レビューの記事からShawn Achor(ショーン・エイカー)のPositive Intelligence(ポジティブ・インテリジェンス)を紹介したいと思います。

 

かなり古い記事で、元は2012年1月号に掲載されたものらしい。

 

でも、記事を読んでみて、今の私に大切な考え方だと思ったので(そして新年を迎える前の良いタイミング思うので)、あとで振り返るためにもまとめておこうと思います。

 

IQ(知能指数)、Emotional Intelligence (感情知性?)、EQ(感情指数?)という言葉はよく聞くようになりましたが、ポジティブインテリジェンスという言葉はまだあまり知られていないような気がする(私が出会っていないだけかもですが)気がします。

 

最初の要綱の部分にもありますが、著書が伝えたいメッセージは

 

Most of us assume that success will lead to happiness.

多くの人は成功が幸せに通じていると考えますが、

(中略)

happiness actually precedes success

幸福(感)が成功に先立つのです

 

という一言にまとめられます。

 

わかりやすく言うと、幸福な社員の方が不幸な社員よりも生産性が高く、クリエイティブで問題解決が良くできるということです。つまり成功につながりやすい。

 

しかし「そんなわけでポジティブ思考いきましょう」と言われても簡単には変われません。

 

人は先行きが見えないときなど特に不安になりがちですし、ストレスが多い中ではなおさら幸福感を高めることが難しいように思えるわけです。

 

記事によると解決策はあるとのこと。

 

脳をポジティブ思考できるように再訓練しようというのです。

 

筋肉を鍛えるように脳も訓練可能。大人になってからでも新しい習慣を通して脳をRewire(再接続)する方法がある、のだそうです。

 

新しい習慣とは

  • Jot down three things they were grateful for
    (その日にあった)良かった事を3つ書き出す
  • Write a positive message to someone in their social support network.
    ポジティブなメッセージを「ソーシャル・サポート・ネットワーク(相互支援のネットワーク)」内の誰かに送る
  • Meditate at their desk for two minutes.
    机についたら2分間の瞑想をする
  • Exercise for 10 minutes.
    10分間のエクササイズをする
  • Take two minutes to describe in a journal the most meaningful experience of the past 24 hours.
    過去24時間に体験した最も意味ある出来事を書きだす。
    (簡単に1日2分くらいの時間を充てる感じで)

 

実験によると、これらを3週間続けたグループは直後だけでなく、4か月後に再度検証した時点でも明らかにポジティブ度が上がっていたということです。

 

上記の5つの習慣の中で最も効果が高かったと思われたのは2番目の相互支援のネットワーク内(要は身近な人間関係内での、という事でしょう)での助け合いとのことです。

他の人がやり残した仕事を引き受けたり、同僚をランチに誘ったり、職場のアクティビティをオーガナイズしたりした人たちは仕事への意欲がそうでない人に比べて10倍も高いだけでなく、昇進の可能性も40%高かったという。

 

他をサポートすることで高まる幸福度が成功につながる一例という事でしょうか。

 

あとはストレスをネガティブなこととしてとらえるのではなく、成長の機会ととらえることで幸福度が上がって成功につながることも示唆されています。

 

ストレスが悪いことだとするビデオを見たグループと、ストレスが人の脳と体を強化するというビデオを見たグループでは6週間後にテストをした際に後者のクループがストレスをポジティブにとらえる傾向があったそうです。

 

著者が進めるストレスに対応することですが、

  • 紙にストレスを書き出す
  • 次にそれを2つのグループに分ける。
    • 1つは自分でコントロールできるストレス(例えば自分がかかわるプロジェクトやメールの受信箱)で、
    • もう一つは自分がコントロールできないこと(例えば株式市場や住宅価格)。
  • 自分がコントロールできる側の中から1つ選んで、ストレスを減らすための小さいけれども確実なステップを考える。

自分がコントロールできるストレスに向かい合って、少しずつでも自分でストレスをコントロールできているという成功体験をさせることで脳をポジティブな方向に導くというわけです。

 

こうすることで自分を幸せにするわけですね。

 

まとめると、新しい習慣を身に着け、同僚を助け、ポジティブ思考でストレスに向き合うのは幸せになるための、ひいては成功するための良いスタート、という事でしょう。

 

幸せが成功につながる、と著者は言いますが、これを読んで「成功は付属的なもの。自分で自分を幸せにする習慣をつけるのは自分を大切にすることなんだろうな」と感じました。

 

TEDトークが日本語にも訳されていたので、興味がある人のためにリンクを張っておきますね。

TED日本語 - ショーン・エイカー: 幸福と成功の意外な関係