カナダでは救命士(ファースト・エイダー)の資格は1日から2日の講習(レベルによって講習の長さが変わります)を受け、実技と筆記にパスすれば誰にでも取得が可能です。
このトレーニングのことをファースト・エイド・トレーニング(First Aid Training)といい、カナダで実績・歴史があって一般によく知られ、認められているのはセント・ジョン・アンビュランス (St. John Ambulance)という団体が行っているものでしょう(写真はカルガリーのセント・ジョン・アンビュランス)。
ベビーシッター、ナニー、子ども相手のボランティア施設、そして色々な会社で、ファースト・エイドのトレーニングは必須となっています。
何かあったときに救急車などの医療の助けが来る前に応急処置が適切に行うことで、何かあったときの生存率が上がるということで、ファーストエイドの必要性が広く認められていますし、また、だからこそ、多くの会社で必修のトレーニングにもなっているわけです。
この資格、一度とれば終わりではなく、3年ごとに受け直しが必要です。応急処置のテクニックが新しくなったり、方法が変わったりすることがあるので(例えば昔は鼻血が出たら頭を後ろに倒して…が一般的でしたが、今では前に倒すようにして血の逆流による窒息を防ぐようになりました)、一から全部習いなおすのがいいということなのでしょう。
日本にもあるのかな?あまり一般的に資格を持っている人に出会ったことがないな?と思っていたのですが、東京消防庁のサイトで救命講習というものがあるのを見つけました。
こちらも基本的には有効期限は3年間だし習う内容も近いので(講習時間が半分くらいなので実技か理論のどちらかが少ないのかな)、同じ感じのものだと思います。
さてさて、私の所属する会社は少しでも現場に行く可能性がある社員は全員がファーストエイドの資格を持っていることが必要です。
私の資格は期限が切れてしまっていたので、この週末にDGと一緒にトレーニングを受けてきました。
DGは期限が後1年残っていたのですが、このトレーニング、ペアでする実技が多いので知り合いと一緒に行くほうが何か良い…と私は思うのです。
私の会社はSafety is Attitude(安全は態度…あるいは心構えのほうがいいかな?)というのがカルチャーとしてあるくらい、安全はルールやイベントではなくて、一人一人の普段からの心持ち・心構え・態度の集大成としてあるものだ、という考えがあります。
安全に関して私たちはかなりまじめに取り組んでいると思います。
真面目過ぎてたまにからかわれるほどですが、「毎日、何事もなく無事に家に帰る」ということがいかに素晴らしいことなのかをしっていることは大事だと思うのです。
すべての社員や私たちの仕事にかかわる人たちが、仕事が終わったら家族のもとに帰り着く、ということがとても大切だと信じ、その実現(事故件数ゼロ)を目指して日々の仕事を大切に遂行しているのです。
そういう会社にいるので、トレーニングを受けに来ている(つまりはファーストエイドの資格をとりたいと思っている)人たちの集まりの中の半分以上の参加者が真剣ではなかったことが驚きで、そして腹立たしく感じました。
20歳代と思われる男の子にはすべてを茶化すことがかっこよく思えたのでしょうか。自分では気の利いた冗談を言っているつもりだったのでしょうが、クラスとストップさせるだけで、たった2日間でいろんなことを学ばなければいけないと思っていた私にはイライラしました。
15分の休憩に25分後に戻ってきて、インストラクターがまた丁寧に最初の10分間のテーマをそのこのために繰り返したり。
冗談を言ってインストラクターにかまってもらいたい、そんな構ってちゃんな男の子でした。
同じように20歳代と思われる女の子たちは、クスクス笑って真剣さがありません。CPR(心臓マッサージと人工呼吸)を1分くらいしたところで、休憩しているのをインストラクターに見つかり「疲れたので休んでいました」。
あなたは実際に自分の大切な人の命がかかっているときにもそう言うの?
CPRは大変な作業だけど、でもその人の命がかかっているときに疲れたからちょっと休憩、3-4分したら戻ってくるわ、なんて言うの?
一人の女の子は人よりもゆっくりでしか理解ができない人でした。それは理解できる。でも、ちょっとやっては休憩に行ってしまって、筆記試験中にはインストラクターに答えを聞く…。そのマイペースは何なの?
私、小うるさい中年女かもしれない。でも、自分に何かがあったときに、この子たちの誰かに自分の命を預けられるかというと、それはかなり不安が残るのです。
レベルに達していない場合、ちゃんと試験に不合格になるのか、それが心配になりました。
意地悪で言っているのではなくて、たとえばファーストエイドのトレーニングを受けて資格を持っています、という子がいて、ベビーシッターをしますよ、とあなたの子どもを預かった場合、親は信じると思うのです。何かあっても大丈夫だって。
私にはこの子たちのいずれもが理論を理解して技術を学んだのか疑問でした。
わかっていない人を落とす、というのも親切だともうのです。
だって、本当に必要な資格なら次回は真剣に学ぶだろうし、本当に技術を会得してこそ、自分の命を、自分の子どもの命を預けることができる、預かることができるのではないかと思うから。
…でもこういう風に思うのって(若い子の態度を不満に思い苦言を呈する)、単に「歳を取ったね」ということなのかなぁ。
私も若いころはああだったのかな…。
でも本当に…Safety is Attitudeですよ。
Attitude(心構えや態度)が悪いと結果も悪いのですよ。
大切な人が返ってこないなんてこと、あってはダメなんだよ。
明日があるって当たり前じゃないんだから。
明日はDGの知り合いのお葬式に行ってきます。
カルガリーでお葬式に参加するのは初めてだし、DGが「カウボーイのお葬式」と言っていたので、報告できたら報告しますね。
(イラストはいつものようにいらすとやさんのページから)


