懲りずに国政女性デー(会社では国際女性週間でした)の話題です。
カルガリーにはウォークインクローゼットというボランティアベースの団体があります。
これは紹介ベース(Referral base)で受けられるサービスで、カルガリー市とその周辺地域のエージェンシー、職業訓練のプログラムや教育機関を通して紹介されてきた人が受けることができます。紹介されてきた人は就学や就職のために必要な服を得るために経済的なサポートが必要であることがもう一つの条件になっています。
つまりは経済的な理由から就学や就職に必要な「プロフェッショナルな」服を購入することに困難がある(スーツなんて高額ですしね)ために、一歩を踏み出せない人たちをサポートする団体ですね。
利用者は一人ひとりじっくりと時間をかけてもらえるので、予約が必要となります。予約の時間に行くと担当者に会います。担当者から就職するにあたってどんな服装をするべきなのか、会社などのオフィス仕事をするということはどんな環境になるのか、などのコンサルテーションなどを受けた後で、ドネーションなどによって集められた服やカバン、アクセサリーなどをコーディネートしてもらいながら選んでいきます。それらは全て無料で利用者に譲られることになるわけです。トップス、ボトムスを何着か、アクセサリー、バッグをもらうことができるので(着回しの方法なども教えてくれます)、インタビューだけでなくて揃うわけです。手持ちのベーシックなTシャツやセーターなどと合わせてしばらくは大丈夫…な状態になるわけです。施設の利用は1人2回まで。例えば冬にサービスを受けたとすると、夏前にもう一度利用して、夏用の服をもらうことができます。そのころには自立して自分で服が買えるようになっているといいね、という感じですね。
うちの会社では今年の国際女性週間に Calgary Wal-in Closetのサポートをすることにしました。社内にドネーションボックスが設置されて、オフィスに使える服のドネーションができるようになっていました。昼休み中にはロビーに社内のボランティア、そしてWalk-in Closetから人が来て、施設についての紹介などをしていました。
カナダに来て1年くらいたったころ、カレッジを卒業してポスト・ワーク・パーミット(就労ビザの一種)が出ることになりました。私がとっていたプログラムはオフィス関連の仕事に就くための職業訓練的プログラムで、移民やカナダ人の同級生が全部で30人くらいいたと思います。「高校を中退してシングルマザーだったけれども、人生をやり直してオフィスでの仕事を得たい」「難民や移民としてカナダに来て、カナダの習慣やオフィスでの仕事の仕方を学んでオフィスの仕事を得られるようになりたい」。そんな同級生がたくさんいました。学生ビザで来ていたのは私を含めて2人だけでした。
そういう状況だったのでクラスの全員がWalk-in Closetに紹介され、予約を取ってコンサルを受けました。貧乏学生で持っていた服はジーンズとTシャツかセーターのみ。学費はカナダ人に比べて2.5倍の値段を払う必要がある留学生…という立場だったので、何とか1着のスーツを購入はしたものの、1週間同じ服を着るわけにはいかないしどうしよう…という状況でした。オフィスで使える服をもらうことができたのは本当に助かりました。
そして得た仕事(1か月だけの短期)は、現在のうちの会社(別部署)でした。その時の仕事は短期でしたが、働いている間のネットワーキングなどを通して別の部署で1年間の仕事を得ることができました。その就労体験からカナダに長く住みたいと思うようになって大学に行くことにしました。大学卒業近くにインターンの仕事を探しているときに、この会社で1年間働いた経験があることが買われて採用が決まり、インターンシップ中に更なるネットワーキングの結果、現在の仕事に就くことができました。私が利用したのは夏前の1回だけ。冬までには自分の服を買い、大学に行くための資金をためることができるようになっていました。初めての就職先がいい就職先でよかった。出会った人たちには本当に助けられてきました。幸運だったと思います。
Walk-in Closetは私の人生を変える手助けをしてくれた、と言えるでしょう。今年のこのイベントはお返しをするチャンスだ、と思いました。
自分のワードローブの中から、普段は使ってないけれどもオフィスで使えそうな服、バッグ、アクセサリーをピックアップしてパックしました。10年以上持ち続けていた服が結構あって、しかも普段は使わなくても年に1回…などの感じで使い続けていたという…日本だったら「年を考えろ」なんて言われていたかもしれませんね。物持ちがいいというか、変化が嫌いで同じことをし続けることに抵抗がない性格なだけなのか…。
DGから「そろそろワードローブの内容を一新する時期なんじゃないの?」というコメントももらったこともあったし、Walk-in Closetにお返しをしたいという気持ちもあったので、お気に入りのバッグやアクセサリーも寄付することができました。
私がドネーションに行ったときにセンターから代表の人が来ていたので、自分の体験とお礼を伝えることができました。
「私の人生を変えるきっかけをくれてありがとう」
考えてみたら施設を使ったのは10年近く前になるんだな、と思うと感慨深かったです。